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幻想庭園

いろいろ書き散らしてます。 なお、掲載している内容につきましては、原作者様その他関係者様には一切関係ありません

神々のお告げ


百日の薔薇 クラウス+タキ

12の月の物語の1月です。これで完成しました。










 年が明けた。
 新たな1年が始まり、人々は良い一年になるように神々に参拝する。
「すっげぇー、人だな」
「ここは、皆の信仰が集まる場所だからな」
 1月1日、クラウスはタキに連れられ、神社を訪れていた。
 神社は、この国で一番大きく、祭られている神は強い力があると言われており、古
くから信仰されていた。その信仰は今も薄れることはなく、年明けの初詣にはこうし
て多くの人々が国中から参拝に訪れるのである。
「いいけど、身動きがとれねぇな。」
 参拝客は、早く参拝を済ませようと続々と本殿に押し寄せており、後ろからの圧力
が半端ないのである。事故が起こらないように、参拝路が設けられ、参拝を終えた者
とかち合わないようになってはいるが、進みは遅く、中には前の方に少しでも隙間が
できるとと、そこを狙って、我先に前に進もうとする輩もあり、大変混雑していた。
「タキ、はぐれるなよ」
 クラウスがタキの手をぐっと握りしめると、タキはきゅっと握り返した。
 何とか、拝殿までたどり着き、賽銭を投げ入れ、柏手を打つ。
 二礼二拍手一礼をするのだと、タキはクラウスに教えた。
 二人は心の中でそれぞれの願い事を告げた。
 後ろがつかえているため、そそくさと拝殿を後にする。
 鳥居から出る前に、おみくじを引こうとタキは行った。
「おみくじ?」
「その年の吉凶を告げる紙を引くことだよ」
「へぇ」
 この国にはそんなのがあるのかと、クラウスは興味を引かれ一枚引くことにする。
 札所にて、くじ銭を払うと、巨大なおみくじ棒を渡された。これを振って、飛び出
た棒の先に書かれた番号の札をもらう。結構重かったので、タキの番が来たときは取
り落としやしないかとクラウスははらはらしながらその様子を眺めていた。
 二人はおみくじをもらい、せーので開けてみる。
「えーっと、大吉って書いてあるぜ」
「良かったな、それは一番いい運勢だ。私は、小吉か。まぁまぁだな」
「ふーん、他に、願事とか、学業とか色々書いてあるな」
「それは、人生にある個々の事柄についてのアドバイスだ。良いことが書いてあれば
今まで通りにし、悪いことならどうすれば良くなるか考えるのだ」 
「へぇー。結構細かく占ってくれるんだな」
 おもしれーなぁと、クラウスは関心しながら呼んでいく。
「読み終わったら、あそこに結ぶのだ」
 タキに言われ、読み終わったクラウスはおみくじが沢山結びつけられている紐に、自分のおみくじを結びつけた。
「これでいいな。タキ、お前のはもう読んだか?結んでやるよ」
「ちょっとまて」
 タキはおみくじを読み進めていって、結婚の箇所に目を留めた。
『結婚 希望を持て。恋人がいる者は仲を保つよう努力せよ。さすれば成就せん』
「タキ?」
「・・・・・・いや、もう読んだ。結んでくれ」
 タキはクラウスにおみくじを差し出した。
「っし、これでいいな。せっかく来たし、ぜんざいでも食べて帰るか」
「・・・・うん」
「どうした?」
「なんでもない」
 行こうと、タキは率先して歩き出した。
 せっかく引いてもたいていの人は、おみくじに書いてあることをすぐに忘れてしまう。
 けれど、
(希望を持て、か・・・)
 その言葉だけは忘れることはなかった。


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