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幻想庭園

いろいろ書き散らしてます。 なお、掲載している内容につきましては、原作者様その他関係者様には一切関係ありません

小ネタ集 その1

百日の薔薇の小ネタ集です。  
たくさん書けるといいな。
 

1.コート
2.薬箱(ホラー風味)
3.葬儀(ホラー風味)
4.寒い冬の夜に暖炉の前にて



1.コート


クラウス×タキの場合

タキ「クシュッ」
クラウス「今日は寒いな。ほら、タキこれ着な」
 といって、クラウスは自分のロングコートを脱ぎタキに着せる。
タキ「ありがとうクラウス。あたたかいな」  
クラウスはタキより身長が高いので、コートにすっぽり包まれるタキ。



カツラギ×アシュレイの場合

アシュレイ「くしゅん」
カツラギ「アシュレイ!大変だ風邪を引いてはいけない。これを」
 といって、カツラギは自分のロングコートを脱ぎ、アシュレイに着せようとするが、 アシュレ
イの方がカツラギより身長が高く体格も大きいので、袖を通すことが出来ず、肩からかけても丈
が足りなかった。
カツラギ「ッ!!」
アシュレイ「大丈夫ですよ。これでも充分暖かい・・・・ああ、カツラギ様ー!!」
 くやしさのあまり、どこかへ走り去ってしまったカツラギ。





2.薬箱

「これを」
 差し出された物に、侍従は不可解とも言いたげな顔をした。
「なんです?これは?」
「薬箱です。店頭で見初めた私にあの方が買ってくださいました」
 それを聞いて、ああと侍従は思い出した。
 珍しく御用達の店以外からの請求書だったので覚えている。覚えているのは記載さ
れている金額がなかなか値を張っていたからだった。
「それをなぜ、私に?」
「持っていて欲しいのです」
 あなたしか頼めないのだと彼は言った。
「中身は何です」
 侍従の質問に彼はこう答えた。
「その中身が使われぬ日が来ることを願っています」



「お帰りなさいませ」
「ああ、今帰った」
 いつものように侍従長は、主人から外套を外し受け取る。
「やつらは来ているか?」
「はい、お部屋に通してございます」
「彼は?」
「お言いつけどおり、御寝室に」
「けっこう」
 そういうなり、主人はさっさと部屋へと向かった。
 侍従長は、外套をしまう部屋にて、いつの日にか渡された薬箱を取り出した。
『あの方があの方でなくなってしまった、そのときは』
『どうか迷いなく、この箱の中身をお使いください』
『そのときは私がお迎えに参ります』

 確かにあの戦争の後、彼が永遠に主人の元から去った後、主人は変貌した。
 しかし変貌した主人は、この国の実力者となり、主家は、いままでにないくらいに
繁栄している。
 主家の繁栄は、仕える者にも喜びをもたらす。
「これはまだ使うときではありませんよ。アシュレイ殿」
 そして、侍従長は、薬箱を懐にしまった。



3.葬儀

夫「それじゃあ行ってくるよ」
妻「いらってらっしゃい。あっ、あなた」
夫「なんだい?」
妻「ご近所の○○さんのお宅の前は通らないでね。ご主人がお亡くなりになったんで
すって」
夫「ええ、確かあそこのご主人はまだ若かったじゃないか」
妻「それがね・・・」 
 妻は夫の耳元でささやいた。
妻「あそこのご主人、自殺ですって」
夫「自殺!?」
妻「今朝、工場で切腹して果てているのを発見されたんですって」
夫「切腹とはそれはまた。彼は職人じゃなかったかい?」
妻「ええ、腕のいい鞘師で評判だったらしいわよ。だからかしら、仕事で失敗したら
しいわ」
夫「へぇ~」
妻「なんでもね、名高い方の刀の鞘の修復を依頼されたらしいのだけれど、その鞘を
傷つけてしまったらしいの。もちろんちゃんと修復したんだけれど、依頼主は大変お
かんむりだったらしいのよ」
夫「へぇ~、それで自殺とはね。誇り高い人だったんだなぁ~」
妻「あそこの奥さん気の毒よ。すぐに葬儀に出してあげたいのに、みんな出払ってる
んだから」
夫「しょうがないよ。今日は領内をあげての葬儀だからな」
 あとで、お弔いに行くよと行って、夫は家を出た。
 家にでると、彼と同じ黒い喪服に身を包んだ人々が同じ方向に向かって歩いて行く。
 彼らの流れに乗って、夫は目的地へと向かった。
夫(それにしてもご自身の騎士の葬儀とは言え、当主並みに領内をあげて壮大に行うとは。
 タキ様はよほど騎士様を寵愛しておられたのだな)



4.寒い冬の夜に暖炉の前にて

 ある寒い冬の夜、タキの部屋にて暖炉の前に座るタキとクラウス。
タキ  「こうしていると、あの冬のことを思い出す」
クラウス「あの冬?」
タキ  「ハンスと、お前で過ごしたあの冬のことだ」
クラウス「ああ・・・」
     クラウスは、暖炉の側に置いてある薪を一本火の中に放り込む。
クラウス「なつかしいな」
タキ  「うむ」
クラウス「楽しかったな。正直今なら楽しかったと言えるよ。スキーも久しぶりだっ    
    たし、誰かと過ごしてむなしくなかった。食事もうまかった」
タキ  「クラウス」
クラウス「あのチーズがなぁ、うまかった。暖炉でほどよく焼けてとろーっとして。
    あのチーズはやっぱあの辺りが一番だぜ」
タキ  「・・・・クラウス、腹が減っているのか?」
クラウス「うん?あーなんていうか、小腹がすいたっていうか、何かつまみたいって
    言うか。」
タキ  「チーズは我が国にはないし・・・・、あ、そうだ」
     少し待っていろと、タキは小走りに部屋から出て行った。
     数分後戻ったタキは、皿などを乗せたお盆と網を抱えて帰ってきた。
タキ  「これを焼くぞ」
     タキが差し出した物にクラウスは首をかしげた。
     白くて、丸く、石のように堅い。においもしない。
クラウス「タキ?これなんだ?」
タキ  「餅だ。我が国に古くからある保存食でな。今は石のように堅いが、焼くと
     チーズのように柔らかくなり、食べられるようになる」
     そういって、タキは暖炉の火の上に網をのせ、餅を並べた。
     クラウスは、じーっと餅の様子を観察した。
     火にあぶられた餅は、やがて香ばし匂いを放ち始め、だんだん膨張し始め
    る。
クラウス「お、おいタキ、これ大丈夫なのか?なんかすげー膨らんでるけど」
タキ  「これはそういう物なのだ、しばし待て」
     さらに、じぃーっと眺めているとやがて餅は、殻を破るひよこのようにパ
    ンと外郭を突き破り、ぷくーっとふくれあがる。
クラウス「おおっ」
タキ  「焼き上がりだな」
     タキは、さいばしで餅を取りあげると、皿にのせ醤油を少し垂らし、クラ
    ウスに手渡す。
タキ  「さ、食すがよい」
クラウス「じゃ、遠慮なく」
     クラウスは、餅にかぶりついた。熱々と口の宿をやけどしつつ、その伸
    び具合に驚く。チーズのように伸びる餅をかみ切り、租借すると醤油と米の
    香ばしさが何とも言えない風味を醸し出す。
クラウス「うまい」
     クラウスの隣でタキはにこにこと笑う。
タキ  「餅自体に味はないからな。、各自が好きなように味付けするのだ。私は砂糖
    醤油でいただこう」
クラウス「それも食いたい」
タキ  「ほら」
     あーんとはしで差し出された餅は、甘く辛く香ばしく、これも美味しいと
    クラウスは思った。
            その光景は、まるであの冬の日の暖炉の前の出来事のようであった。
          
     
 




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