いろいろ書き散らしてます。 なお、掲載している内容につきましては、原作者様その他関係者様には一切関係ありません
四つ葉のクローバーを見つけたら願いが叶う。
そう教えてくれたのは、誰だっただろう。
ある晴れた春の日。
庭を一人散歩していたら、一面にクローバーが生えている場所に出くわした。
所々にシロツメクサが生えて、白と濃い緑のコントラストが美しい。
ふと、四つ葉のクローバーの神話を思い出して、思わずその場にしゃがみ込み、足下に
生えているクローバーを探った。
幾万本と生えているクローバー。
けれど、探せど探せど出てくるのは三つ葉ばかりで、終いには執念のように必死で
クローバーの中を這いつくばって探した。
探し出せなければ、もう二度とあの願いが叶うことがない。そんな思いに駆られながら
必死で。
探して、探して。
手と膝を汚して、ようやく見つけ出した一輪の四つ葉のクローバー。
一枚一枚、何度も数え直して四つの葉があることを確認する。
やっと見つけ出したというのに、摘み取るのはためらわれた。
今ここで摘み取らなければ、もう一度見つけ出すことは決してできないだろう。
もう二度、その姿を目にすることはない・・・・。
震える指先で、見つけ出した四つ葉のクローバーに手を触れる。
その葉が無残にちぎれぬよう気をつけて、根元から手折った。
手折って、その葉に口づける。
そして、願いをささやいた。
この胸の奥にしまい込んだ、自分以外の他の誰も知らぬ願い。
ふと、四つ葉のクローバーにまつわる、もう一つの神話を思い出した。
『四つ葉のクローバーを持っていればね、幸せになれるの』
では、このクローバーを肌身離さず持っていれば、この願いは叶い、幸せになれるの
だろうか。
もしそうなら、どうか叶えて欲しい。
自分の幸せは、この願いが叶わなければ、決して来ないものなのだから。
祈りを込めるようにもう一度、四つ葉のクローバーに口づけた。