百日の薔薇 クラウス×タキ×クラウス クラウス女体化
アクア版1巻、2巻ベースでオリ設定があります。
「ローゼンメイデン」が動いたという報告は、直ちに各方面にもたらせた。
皇国軍総司令部。
突然の報告にざわつく将校達をよそに、アサクラ総司令だけは冷静な態度で窓の
外を見つめながらつぶやいた。
「まいったな・・・」
内務省・内務副大臣室。
「やっとか・・・」
夜空を見上げながら、カツラギは不敵な笑顔を浮かべる。
「カツラギ副大臣。外務大臣から抗議が寄せられ内務大臣が激怒しておられます」
「ほうっておきたまえ。彼らは所詮名誉職だ。老人の怒りに飲み込まれる必要はな
い」
そこへ、秘書官が最新の報告へ向かってやってきた。
「報告します。配備兵が判明しました」
「読み上げた前」
「はい。予備部隊が動いていますが。実際に列車に向かったのは2名で、そのうち
一人は例の騎士だそうです」
「なに、向かってくるのはオートバイ兵二人だけだと?」
列車内で、兵を統括するベルクートは密偵からの報告を受け取っていた。
『はい。小隊も配備されていますが、中間地帯へは入っていきません。一人はわか
りませんが、一人は間違いありません。タキ・レイゼンの騎士クラウス・フォン・
ヴェルフシュタットです」
その名を聞いた瞬間、ベルクートの左目の傷がうずき始めた。
「やつがくる・・・」
ベルクートは天の采配に感謝した。
戦車を搭載した貨物列車が行く先を一台のオートバイがかけてゆく。
「見えた。鉄橋よ。あそこをを超えれば中間地帯よ」
クラウスはバイクのスピードを上げた。
鉄橋には、工作員が配備され、彼らの中をバイクは走り抜ける。
「いよいよよ。覚悟はいい。アズサ」
「はいっ」
鉄橋を抜け、ついにバイクは中間地点に突入した。
目の前に広がるのは一面の銀世界だ。
「どう、なんか変な感じがする?」
「あっ、えっと。いいえ。大丈夫です」
「それはよかった」
クラウスは腹部に手を添えた。
「大尉、あの、お腹が痛いんですか?」
「大丈夫よ、ちょっと緊張しただけ」
クラウスは、目の間に広がる光景を見つめてつぶやいた。
「先に来たわよ、タキ」
クラウス達は、予定の潜入ポイントに到達した。列車の姿はまだ見えない。
クラウスは、バイクの偽装をアズサに頼むと給水塔に昇った。
眼下に広がる光景。地平線まで続く雪の平原はきらきらと輝いて美しく、この地
に未だに数多の英霊たちが眠ったままなんてウソのようだ 。
「大丈夫。必ず連れ帰ってあげるから」
そこへアズサがふうふうと息を切らしながら昇ってくる。
「なにへばってんのよ」
「すみません。無線機が重くて・・・」
クラウスは仕方なく無線機を持ってやる。
「さっさと昇って、大隊本部に入電。無事到達したってね」
「はい」
何とか登り切ったアズサは、早速無線機のスイッチを入れた。
そのころ、大隊本部ではすべての設置が完了し、二人からの連絡を待つという
状態であった。
タキは、作戦図をじっと見つめていた。
『大隊本部へ入電。こちら00小隊』
「00小隊へ、こちら大隊本部」
『00小隊。ポイントへ到達・・・』
そのやりとりを聞いているところへ、別の無線からスグリに入電があった。
スグリは席を外して、本部外の救護所の無線からその無線連絡を受け取り、顔色
を変えた。
「くそっ」
スグリは急いで本部へ戻った。
(なぜ、あのときもっと真剣に女官長の話を聞いていなかったのか)
数日前の先頭でスグリは女官長から思わぬ話を聞いた。
『クラウス大尉のことなのですが。実は今月はまだ月ものが来ていないのです』
高貴な家にはつきもので、女官長はタキの周辺にいる女性達の月ものの周囲を
把握した。
『クラウスは現役の兵士だからな。内地勤務の女性とは違う。あれだけ体を酷使す
れば月ものも遅くなるだろう』
『ですが、先月まではきちんときていたのです。もし万が一身ごもっているとした
ら・・・』
『馬鹿な、誰があの女の相手をするというのだ』
期したるクラウスはタキの所有物だ。主人の許しなく手を出すことは。タキへの
反逆とも同罪で、最悪の場合、極刑に処せられる。
『来週、定期検査だ。そのとき調べればよかろう』
あのときは、クラウスがタキとそんな仲であると思いもしなかった。
タキのことで頭がいっぱいで、血液検査を急がせなかった。
『・・・以上、連絡終了。15分後にまた』
「まて、アズサ、まだ切るな!」
『えっ?スグリ少尉?』
スグリは、奪うようにヘッドホンを手に取るとマイクへ向かって、叫んだ。
「スグリだ。クラウス聞こえているな。血液検査の結果が出たぞ」
そのとき、給水塔の上のクラウスは、遙か向こうから迫ってくる陰を見つけた。
「来たっ」
クラウスは、身構える。
「通信終了。ライト消せ」
クラウスの檄にアズサは慌てて、スイッチを切る。しかしその直前、スグリの
言葉はしっかりとアズサの耳に飛び込んできた。
『気づいているのか!?おまえ妊娠してるぞ!!』