百日の薔薇 クラウス×タキ×クラウス クラウス女体化
アクア版1巻、2巻ベースでオリ設定があります。
ヘビースモーカーであるクラウスは、セックスの後にも必ず一服した。
しかし、今日は一口吸っただけですぐに火を消した。
腹部に手をやり、隣で眠るタキの顔を見る。気持ちいいことをしたというのに、
タキの眉間には皺が寄っていた。
「夢の中にまで引きずってるの?」
あきれたと同時にクラウスは可愛い坊やを見るような表情で、タキに頬を寄せた。
「馬鹿ねぇ。素直になればいいのに」
あの店で語り合うときのタキはもっと素直で可愛かった。
「かわいそうなタキ」
クラウスはタキの耳元に唇を寄せた。
「ねぇ、言ってよ。あれきり聞かないあのときの『言葉』でさ」
そして、ささやく。
「そしたらあたしは、この先何があっても安心できるの」
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「あっ」
少年は、お使いに出た店先であこがれの女(ひと)を見かけて頬をポッと赤くし、
急いで近くの棚の陰に隠れると、そっとその女性の姿をうかがい見た。
「クラウス様・・・///」
クラウスは店主となにやら話しこんでいて、後ろ姿しか見えない。でもこんなに、
間近で見えてハルキは自分の幸運を喜んだ。
初めて見たときから、ハルキはクラウスに惹かれた。
太陽を思わせる金の髪、金の瞳。
戦場で戦う姿を見た者の話によるとさながら炎のようらしい。
激しく熱く燃えさかる様はどこにいても、彼女の位置がわかるほどだという。
敵兵の中にも彼女の姿に見ほれる者もいるという。
敵兵の気持ちもわかる。
彼女はすごくきれいでかっこいい。
彼女ほどの人は、きっと世界中探してもいないだろう。
「あのガキ。おまえのことじっと見てるぞ」
「ばれてないと思ってるんでしょ。いいわよ、好きにしたら。あれぐらいの年頃の
子は、年上のお姉様とかに憧れるじゃない。女冥利に尽きるわ」
「領主の愛人とは思えん言葉だな」
「あたしは、愛人じゃなくて騎士よ」
「そうだった、そうだった。『騎士』だったな」
クラウスの抗議を軽くあしらいながら店主は、新聞をたっぷり詰め込んだバック
パックを取り出す。
「今週の分だ。もてるか?」
「大丈夫よ。ありがとう」
「それと」
店主は周囲を伺いながら、一通の手紙をそっと差し出す。宛名も宛先もないが
クラウスはそれが誰からわかった
「ったく、あの人は心配性なんだから」
「大事な娘が一人で敵国の地に嫁いでいったら、誰だって心配するさ」
「誰が娘だっての」
クラウスは乱暴に手紙をバックパックの新聞の間に突っ込む。
その時、棚から商品が落ちるのではないかと言うほどの大きな物音に、クラウス
は素早く振り返った。
鋭くなった眼光が捕らえたのは、拳を握りしめて顔を真っ赤にして震える一人の
少年兵と床に尻餅をついて頬を押さえる子どもと顔を真っ青にして二人の間でおろ
つく子どもだ。
「こらぁ、ガキども!ケンカは店の外でしろ!!」
店主の雷に、二人の少年は店から逃げ出す。立ち尽くしている少年を残して。
まだ拳を握りしてめて、肩で息をしながら小刻みに震えている少年に、クラウス
はそっと近づき、声をかけた。
「大丈夫、坊や?」
すでに列車が出ているというので、クラウスはハルキを後ろに乗せてバイクを走らせた。
「・・・・ありがとうございます」
「気にしないで。あたしの方こそありがとね。庇ってくれたんでしょ?」
きれいな皇国語にハルキは目を見張る。
「言葉、わかるんですか?」
「半年あればね、十分よ」
クラウスの言葉に、ハルキは悲しそうな表情を浮かべる。
『ふ~ん、ハルキ。おまえあんなのがいいの?』
あの時、一緒に来ていた学友が、いつのまにかハルキの背後に回り込み、がっと
ハルキの肩に腕を回してこう言ったのだ。
『な、何言ってるんだよ』
ハルキは、顔を真っ赤にして否定する。
『おまえ、いい趣味してんな。みんなあの女はスパイだって言ってるのに』
『クラウス様はスパイなんかじゃない!』
ハルキは強い口調で抗議する。
『なんで?そうじゃなかったら、なんでこんな国に来るんだよ。あんなすげぇいい
女が』
『もう離せよ』
暴れて肩をつかむ腕から逃れたハルキの横で、もう一人一緒に来ていた学友が
クラウスをじっと見つめてため息をついてつぶやいた。
『すげぇよな。あのおっぱい。揉んでみてぇ~』
その瞬間、ハルキの鉄拳が炸裂した。
「みんなひどいです。クラウス様はタキ様を守るために一生懸命やってるのに、
女優を見るようなことばっかり言って」
「あたしほどのいい女が身近にいたら仕方ないわよ」
アッハッハとクラウスは笑い飛ばす。
「でも、ひどいです。女性にかけていい言葉じゃありません」
『あんな女性を侮辱するような言葉、平気でいられるわけではないか』
昔、タキにかけられた言葉が蘇る。
「・・・・ハルキは、いい子ね」
タキもそうだった。うぶで生真面目で、可愛くて。今では見る影もないけれど。
「おしいわねハルキ。あんたがもう少し大きくてもっと早く出会ってれば、男にな
る手ほどきをしてあげたのに」
「えっ?」
驚きのあまり落ちそうになるハルキに、クラウスはしっかり捕まってなと檄を
飛ばす。
「バーカ、こんなことで動揺するんじゃないわよ」
「す、すみません」
「うそよ。可愛いわ」
ふふっと笑ったクラウスだが、急にまじめな声で話しかける。
「でも、ダメ。あたしはタキのだから」
「はい」
「ハルキ、いい男になりな。でも、女を泣かしたり、不安がらせたりしたらダメよ」
そのとき、国境方面から地鳴りが迫り始めた。
自室で目を覚ましたタキは、クラウスの名を呼んだ者の返事がなく、彼女の姿が
ないことを確認した。
そして、地鳴りと夜空に輝く無数の光に、すぐさま服に手を取り着替えると部屋を飛
び出した。
「全線区に警報発令。全車両に出撃準備!」
各方面に指示を出しつつ、タキは指揮戦車『ムラサメ』に搭乗する。
「クラウスは、5分で出る支度しろ」
しかしすぐに帰ってくるはずの彼女の返事はない。
「クラウス!?」
ここで初めてタキは、クラウスが司令部内にもいないことに気づいた。
タキはすぐさま、無線を手に取り彼女専用の周波数に呼びかけるも返答はない。
「クラウス、どこだ!?返事をしろ、クラウス!?」
念のため他の周波数に合わせるも応答なし。
そこへ本国総司令部から有線通信が入り、タキは呼びかけを一時中断し、総司令部と
の通信には入る。作戦内容確認し通信を終えると、全車両の出撃準備は完了していた。
これ以上、クラウスを探している暇はなかった。
「タキ様、チャンネル307(クラウス大尉)への呼びかけは私がしましょうか?」
タキを気遣って、無線手のアズサが話しかけてくる。
「頼む」
タキはアズサに頼むと、ハッチがノックされた。
「やばっ、無線置いてきた」
しくじったと言うクラウスの後ろで、ハルキはまっすぐに戦場の方を見つめる。
「あれが敵襲」
あの夜空に輝くのは、敵方の戦闘機だろうか。まるで流れ星のようだ。
「きれい・・・」
「乗ってる方は命がけだけどね」
クラウスは、ホルダーからベレッタを引き抜くとハルキに手渡す。
「もっておいで。これならおまえの手にも合うわ」
ハルキは言われるがままそれを受け取った。初めて握る銃の感触。何まるで使い込ん
でいるかのように手になじむ。
「このまま前線まで走る。覚悟はいい!?」
「大丈夫です!!」
「いい返事ね。いくわよ」
クラウスは、ハルキを乗せたまま前線へとバイクを走らせた。