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幻想庭園

いろいろ書き散らしてます。 なお、掲載している内容につきましては、原作者様その他関係者様には一切関係ありません

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 冥王星のメンバーが、身体に刻印を刻むようになった出来事の話。

 サー・カロンがキング・ハデスの部下になったばかりの頃の話です。
 二人とも若くて(だいたい出会った頃の団守彦と連城暁とそれぞれ同年齢くら
い)、サー・カロンはキング・ハデスに敬語は使っておらず、日本語も片言です。
 捏造設定で書いてます。

R13 キング・ハデス×サー・カロンあり

探偵学園Q 冥王星 サー・カロン キング・ハデス
















 キング・ハデスに半ば無理矢理ひっついて香港から日本にやってきてしばらく
経ち、サー・カロンは日本での生活に慣れてきた。
 そんな頃のことだった。
「キング・ハデス。冥王星の仲間の証しは何なんだ?」
 サー・カロンの発言に、キング・ハデスは何だそれはと片眉をつりあげる。
「俺達の社会では構成員達は皆、組織の一員である証しを持っている。日本のヤク
ザも同じじゃないか?」
「それはよく知らないが、メンバーの証し、か・・・・」
 キング・ハデスはふむと考える。
 そんなこと考えたこともなかった。
 父親に裏切られて以来、人間不信の塊となりずっと一人で生きてきたし、そもそ
も冥王星の原点である母親は、一人ですべて執り行ってきたのだ。
「・・・・別にいらないだろうそんなの」
「そんなことない!絶対必要!!」
 めんどくさそうに答えるキング・ハデスにサー・カロンは反発する。
「証しが仲間の絆を強くする。キング・ハデスは俺との絆を強くしたくないのか?」
「というか、お前が勝手に付いてきたんだろうが」
「それはそう。あなたこそ新時代のアサシン。現世に生きる死を操る冥府の王。
俺の王はあなた。だから付いてきた」
 屈託のないまなざしで、そう言いきるサー・カロンにキング・ハデスは調子を
狂わされる。
 出会ったときからこうなのだ。
 サー・カロンから向けられる視線も言葉もいままで出会った誰とも違う。

「俺はあなたとの絆の証しが欲しいよ、キング・ハデス」

 そう言いながら差し伸べられた手。
 その手も、その言葉も、これが・・・・・。
「そうか、そんなに欲しいか・・・・」
 ならとキング・ハデスは自分の身体に刻まれた痣がある辺りに触れる。
 父親から受け継いだもう一つの血の絆の証し。
 そして偶然にもこれこそが、黒王星彦が生まれながらに冥府の王である証しとも
なった。
「我らは冥王星。ならばその星のマークこそ絆の証しにふさわしいだろう」
「冥王星のマーク。うん、それいい。とてもいいよ。キング・ハデス」
 サー・カロンは、にこりと笑う。
「じゃあ、さっそくそのマークでバッジを作るよ」
「バッジだと・・・」
 その提案をキング・ハデスはふんと鼻で笑う。
「ダサいし、ありきたりでつまらん。それに落としたどうするつもりだ。警察に
拾われたらすぐにメンバーだとバレるぞ」
「それもそうかぁ。ならどんなのがいい?キング・ハデス」
「簡単だ。痣みたいに身体に刻み込めばいい。日本で言う入れ墨をだな」
「入れ墨!?」
 その言葉を聞いた途端、サー・カロンはぎょっとして嫌そうな表情をする。
「なんだ、その顔は。さっきまであんなに欲しそうにしていたくせに」
「それはそうよ。欲しいのは本当。でも入れ墨は・・・・・」
 露骨に不機嫌そうにするキング・ハデスに対し、う~んとサー・カロンは気の進
まない表情のままだ。
「いったい何が不満なんだ」
「日本の入れ墨は・・・・派手でしょ?」
「派手?」
「この前、銭湯に行ったとき俺見たよ。背中全面に桜とか龍とか派手な色使いで
立派な絵柄の入れ墨をした男達がいた」
 初めて目にする日本の入れ墨の華燭を好む中国人もビックリのド派手さに、
サー・カロンは目を丸くして思わず見入ってしまい、ひと悶着怒りかけたのは内緒
だ。
「腕にも掘ってる奴もいたし。あんなに大きく派手に入れたら逆に目立たないか?」
 サー・カロンが目撃したという男達の正体に気づき、キング・ハデスは激高する。
「馬鹿者!! 誰があんなに派手に入れろと言った!?それに、あんな入れ墨を
入れるのはヤクザくらいだ。我々は高貴なる芸術家だぞ。あんな脳みそまで筋肉で
出来てる奴らと一緒にするな!!」
「ご、ごめん。キング・ハデス。俺、誤解してた」
 まさかそこまで怒るとは思わず、初めて見る怒り心頭のキング・ハデスに、
サー・カロンは必死で謝った

 ・・・という悶着があったもののこれにより冥王星のマークが、メンバーの証し
と決まり、以来冥王星のメンバーは、身体のどこかに冥王星のマークの入れ墨をす
るようになった。
 それは特殊メイクで容易に隠せるように小さなもので、肉眼でも痣のようにしか見えない大きさだった。
 入れる箇所は、自分で指定できるが自分で隠しやすい場所が推奨された。
 さて、記念すべき冥王星のメンバー第1号であるサー・カロンはどこに入れたか
というと・・・。


***********




 薄暗い寝室に置かれた巨大なキングサイズのベット。
 王だけが横たわることができるはずのそのベットに乗ることを許されるように
なったのはいつの頃だっただろうか。
「・・・・っ」 
 上半身の服の前をはだけさせ、薄明かりに引き締まった肌がさらされる。
 へそから少し横にすれた場所に刻まれた冥王星のマークに唇で触れられ、
サー・カロンはびくりと身体を震わす。
「ふん。相変わらずここが弱いな、お前は」
 キング・ハデスは意地の悪い笑みを浮かべる。
「そこは・・・誰でも弱い・・かと。だから・・こそ。いれたわけです・・し・・・・」 
「ふふ、そうだったな。服従の証しに腹を見せるとは。お前こそが冥府の王の犬だ
な」
「あ・・・っ」
 そう言われてもう一度強く吸い付かれて、サー・カロンは声が出ないように手の
甲をかむ。
 彼が絆の証しである冥王星のマークを腹に刻んだのは、隠しやすく、隠していない
ときも人目が触れにくい場所であるのと、腹部は人間の弱点であることからそこ
を自ら見せることで相手の安心を誘うという、昔に教えられたことに従ってのこと
だったのだが・・・。
(なんか・・・変な性癖を目覚めさせちゃったんだよな・・・)
 夜の相手をするとき、キング・ハデスはサー・カロンに刻まれた冥王星のマーク
に触れることを好んだ。
 偶然もそこは性感帯でもあり、おかげでサー・カロンはそこを触れられる度に
気持ちよくなって仕方がない。
「キング・ハデス・・・・もう、それ以上は・・・」
 せり上がりつつある反応にサー・カロンは、キング・ハデスを己の身体から退け
ようとする。
「私を拒むのか」
 キング・ハデスが冷たい視線で睨んでくる。
「違います。このままでは服が」
「なんだ、そんなことか」
 スーツのジャケットとネクタイはすでに外していたキング・ハデスだったが、
シャツも脱ぎ捨てる。それどころか衣服をすべて脱ぎ去ろうとする。
「お前も脱げ」
 それが昔から変わらぬ合図。
「はい、キング・ハデス」
 サー・カロンは己に衣服に手をかける。
 もう若くはないし、8年前に負ったケガなどのせいでかつてのようにはいかなく
なった身体だけれど、いまだ王は己を刻みつけようとする。
「こい」
 そう言われ、その身に任せれば、後はもう言葉はない。
 けれど、刻み込まれていく身体の奥底から湧き上がる快楽と悦びはどうしようも
なく逃れがたくて、サー・カロンは己に刻まれる刻印を静かに受け入れるのだった。







 
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