忍者ブログ

幻想庭園

いろいろ書き散らしてます。 なお、掲載している内容につきましては、原作者様その他関係者様には一切関係ありません

あとはお若い者同士で


見合いをする闇の王と光の女王


エルテナノクティス 闇の王×光の女王 R12

新たなる世界シリーズ
 エンディング後で、新たな律が生まれた世界での闇の王と光の女王の物語です。
 光と闇との間に争いはありません。
 なので、登場人物の性格が原作とかなり違います。
 これらを踏まえて、何でも許せる方のみお読みください。

登場人物

エンペラー ・・・ 原作に出てくるエンペラーに姿は似ているが別人。
          灰色の魂の持ち主で、世界の王
光の女王  ・・・ 光の者達の指導者。
闇の王   ・・・ 闇の者達の指導者。















 灰色の魂が統治する世界「エルテナ」。

「時は来たか・・・」
 今代の灰色の王エンペラーは、現状と様々な見地を持つ者への相談結果を総合し
て検討した結果、ついにある決断を下した。

「光の女王と闇の王を呼べ」

 部下に命じ、光と闇、世界を形作る二つの勢力の指導者を己の元へ召集した。




 まずやってきたのは、光の指導者「光の女王」であった。
「エンペラー、お呼びに従い、はせ参じました」
「久しぶりだ、女王よ。相変わらず勇ましいなりだな」
 女王は、その名にふさわしい荘厳なドレスではなく、光の名にふさわしい精錬な
白き鎧を身にまとっていた。
「私を召集するとは、まさか世界の危機でしょうか?また、カオスエネルギーを狙
い機械達が侵入を?なら、我が光の騎士団にお任せください。私自ら指揮し、奴ら
を蹴散らしてご覧に入れます!!」
 まだエンペラーが何も言っていないにもかかわらず、光の女王は臨戦態勢を見せ
る。
 灰色の王の威光が世界の隅々まで届いているエテルナは、遙か昔と違って大規模
な争いはほぼ起きない。ゆえに、光と闇がそれぞれ整えている騎士団が普段戦うの
はたまに発生する狂った亡霊や魔物くらいだ。
 そんな彼らにとって歯ごたえのある相手が、世界の外からやってくる機械達だ。
 彼らは不定期ながらもエテルナにやってきては、エテルナを構成するカオスエネ
ルギーを摂取しようとする。彼らは節制という言葉を知らず、採れれば枯れ果てる
まで摂取しようとするため、放っておけばエテルナが崩壊しかねず、素早い対処が
求められた。
 生命力の無い機械達との戦いは心躍るものでは無いが、彼らは戦う度に失敗を
分析し、対処法を発見してくるため、正直な話、戦いを切望している猛々しい魂を
持った者にはちょうどいい相手に他ならなかった。
「いや、奴らは来ていない。しかし、事は世界にとって最も重要なことなのだ」
「なんと!?機械以上の脅威が迫っているのですか?」
 それは一体!?と驚きと期待に満ちた目を向けてくる光の女王に、エンペラーは、
「いや、そうではなくてだな・・・・」
え~っと目をきょどつかかせ、なにか言いにくそうにしながらもこう言った。

「少し尋ねるが」

「なんなりとお尋ねください」

「そなた、誰か思いを寄せる者はいるか?」

「・・・・・・・・・・・・は?」

 思っていたものと全然違う種類の質問に、光の女王は思わず思考を停止し、間の
抜けた返事をしてしまう。

「もうちょい詳しく言うとだな。恋人とか将来を誓っている相手はおらんのかと
聞いておるのだ」

「いや、えっ、あの・・・っ」

 人前では毅然とした態度を保つことを常とする光の女王の非常に珍しい挙動不審
にエンペラーはそのような者はいないということを確信する。

「ふむ、それはよかった。余とて世界のためとはいえ、想い合う同士を引き裂くの
は心が痛むのでな」

 その言葉は本心からだったようで、エンペラーは先ほどまでの決まりが悪そうに
していたような顔を解きほぐした。
 そして、告げた。


「では光の女王よ。最も強き光の力を持つ者の役目を果たすために、闇の王と
結婚せよ」


 エンペラーは命令とは言わなかった。
 これは彼なりの慈悲だ。
 しかし、結局はそれと変わりは無いのだ。
 なぜなら、
「次代の灰色の魂が必要なのだ。それは、光と闇の交わりでしか生まれぬ」
 だからこそ、灰色の魂を持つ者が光と闇の王のさらなる王として、世界の王とな
れるのだ。
 エンペラーの代となって数世紀。彼とて不死者ではない。
 代替わりの時が来たのだ。
「もちろん今日明日いきなり式を挙げよとは言わん。ちゃんと事前に顔合わせの場
を設けるからな。心づもりはしておくように。間違っても斬りかかってはいかんぞ。
そなたの男嫌いぶりは余の耳にも届いておるが、これは光の指導者の果たすべき役
目なのだ。それを胸にしてだな・・・、これ、聞いておるか?」
 エンペラーが問いかけた光の女王は、目の前に起こった展開について行けず、茫
然自失となっていた。



 ***********



 あれよあれよというまに顔合わせ当日。
 場所はエンペラーにより城の中庭に設けられた。
「いよいよですな、陛下」
 闇の王の部下へある番人が主へ声をかける。
「相手はあの光の女王です。あなたが出会ってきた数多くの闇の女性達とは性質も
性格も何もかもが異なりますが、女性であることは確かです」
「なんだ、その言い方は。彼女が実は女性はないとでも言いたいのか?」
 闇の者特有の含みのある言い方に闇の王は皮肉めいた顔をする。
「楽しいことが大好きなエンペラーもそこまで悪趣味な楽しみ方はしないだろう」
「さようです。光の女王は確かに女性です。だからこそ最初が肝心なのです。ここ
で主導権が握れるかどうかが、今後の夫婦生活を営む上での重要な鍵となります」
(夫婦・・・か・・・)
 結婚はともかく、光の女王とそうなるとは思わなかった。
 もともと光と闇は相反する存在なのだ。
 だからこそかつては呪われた争いを繰り返してきた。
 いまは両者に争いはないものの葛藤は今だ存在していた。
 その葛藤を乗り越え、抑えられる存在が灰色の魂なのだ。
 その父となることは最も強き闇の力を持つ者の役目であり、名誉なことであるが、
素直に喜べないのも事実だ。
 さらに相手はあの光の女王。
 彼女の評判は、闇の王の耳にも届いていた。
「我ら闇の者達のためにも、ぜひとも王に主導権を取得していただきたく」
「わかっている」
 番人に言われずとも闇の王はそのつもりだ。王としてのプライドがそれを許さな
い。だからこそ、鎧姿だと威嚇に思われかねないというアドバイスに従い、礼服を
着てきたのだ。
「間違っても尻に敷かれませんように。そうなると光も闇も関係なく、夫は妻に
生涯頭が上がらなくなりますゆえ」 
「貴様・・・!口が過ぎるにもほどがあるぞ」
「これは失礼いたしました。では、わたくしめはこれで。女王はこの先の東屋で
お待ちだそうです」
 頑張ってくださいね~~♪と愉快そうに言いながら退散した部下に舌打ちしなが
らも闇の王は気を取り直して、教えられた東屋に向かった。
 

 いつもは、城の者や訪問者で賑わう中庭だが、今はその賑わいが嘘のような静け
さに包まれている。
 エンペラーの配慮により人払いがされているのだろう。
「まったく、たいした気遣いだ」
 絶対的な権力を持ちながら、万人に気を使う思慮深いエンペラー。
 彼ほどの者なら即日結婚を命じてもいいのに、そうはせず、こうして面倒な顔合
わせの日程まで組んでくれた。
 権力を振り回す傍若無人な暴君は困るが、もう少し権力者のわがままを見せても
いいんじゃ無いかと闇の王は個人的に思っていた。
 そんなことを考えているうちに目的地の東屋に到着した。
 屋根とそれを支える柱だけの東屋は、中にベンチがもうけられておりそこに光の
女王が座っていた。
 彼女はドレス姿だった。
(驚いたな)
 それは、正直な感想だった。
 光の女王は、自ら光の騎士団を率い各地の魔物や亡霊退治に赴くほど勇ましく、
エンペラーの王城でたまに顔を合わせるときも彼女はいつも鎧姿であり、正式な場
でさえそうで、それ以外のものを身につけた姿を見るのは実はこれが初めてであっ
た。
(ふうん、これは・・・)
 こうしてドレス姿の光の女王を見てみると、女王の威厳はそのままに、勇ましさ
はなりを潜め、この姿だからこその女性のたおやかさというものを垣間見ることが
できた。
 しかしいかんせん、表情が悪い。
 彼女はこの結婚を不服に思っているのか、目つきがいつものように鋭く、口も引
き結んでいて怒っているように見え、全体的に印象がきつい。
(まぁ、仕方が無いか)
 夫婦になるとはいえ、半ば強制なのだ。心が通い合わないのは想定内だった。
 灰色の魂をこの世に誕生させる役目を負う者は終生夫婦であり続けなければなら
ないという規定はない。役目さえ果たしてしまえば、あとはエンペラーや城の者が
なんとかするだろう。
 それまでの辛抱だと、闇の王は心の中で割り切って、光の女王に話しかけた。
「久しぶりだな、光の女王」
「・・・・・・・」
 彼女からの返事はない。
「隣に座って構わないか?」
「・・・・・・」
 相変わらず返事はないが、それを肯定と自己解釈して闇の王は光の女王の横に
腰掛けた。
「単刀直入に言うが、私は役目さえ果たせれば後は互いの自由でいいと思っている」
「・・・・・・」
「我々は相反する存在だからな。遙か昔には互いに憎み合い、刃を交えてきた間柄
だ。それを乗り越えたとは言え、遺恨はいまだに残っている」
「・・・・・・」
「しかし、かと言って私は自分の役目を放棄するつもりはない。世界を安定へと導
く灰色の魂を新たに生み出せるのは我々だけだからな。それが果たせるなら多少の
ことには目をつぶるつもりだ」
「・・・・・・」
「エンペラーもそのつもりだろう。情が濃いところもあるが、王として実に理性的
な判断ができる方だからな。目的が果たせれば文句は言わないさ」
「・・・・・・」
「言いたいことはそれだけだ」
 そうと告げて、闇の王は立ち上がる。
 最後まで光の女王からの返事は無かった。今回の件を不満を持つ者の傍にこれ以
上の長居は無用だ。
「では、また。今度は結婚式で会おう」
 顔見せは上手くいったと皆には、私から告げておくと言いながら立ち去ろうとす
る闇の王の服の裾を唐突に光の女王がつかんだ。
「・・・・・なんだ?」
 闇の王は不快そうに眉をひそめる。
 先ほど自分が言ったことに何か不満でもあるのだろうか?
 一方的な口上になってしまったが、それは女王が返事をしなかったせいであり
自分だけのせいではない。
「言いたいことがあるのなら、聞こう」
 闇の王は冷静さを保ちながら光の女王の返事を待った。
「・・・・・・れ」
「なに?」
 光の女王は何か言ったが、何せ声が小さすぎて聞き取れない。
「・・・・を・・・・くれ」
「すまないが、もう少し大きい声でしゃべってくれないか?何を言っているのか
聞こえないんだが」
「・・・・・をとってくれ」
「聞こえたが、もっとはっきり言ってくれ。何を取って欲しいんだ?」
 少し苛立ってきた闇の王に光の女王は告げた。

「コルセットを取ってくれ」

 それを聞いた瞬間、闇の王の思考は停止した。




 ***********




 ずいぶん長い間時間が止まっていたような気がする。
「・・・・・は?」
 ようやく思考が戻った闇の王だが、間抜けた返事をするのが精一杯だった。
 だが、光の女王の方も切羽詰まっていた。
「頼む、もう限界だ」
 声はうわずり、闇の王の服をつかむ力が強まる。
「締め付ける紐が背中の中途半端な位置になるから手が届かんのだ」
「いや・・・、それは。いくら結婚するとはいえ、急すぎる・・・」
「早くしろ。内臓が口から飛び出しそうだ・・・・っ」
「ちょ、ちょっと待て!」
 そうまで言われて、光の女王の危機を察した闇の王は慌てて座り直し、光の女王
に自分の方へ背中を向けさせ、女王のドレスの背中にあるチャックを下げると、
出てきたコルセットの紐の結び目を外し、編み込み状態の紐をほどきはじめる。
「くそっ、なんだこの面倒な紐は!?」
 コルセットを緩めるのに紐を全部取る必要は無いのだが、半ば狼狽していた闇の
王はとにかく紐を取らねばならないことに気を取られてしまい、ついには手間取り
からの苛立ちに任せて紐を引きちぎってしまった。
 しかし、おかげでコルセットが緩まり光の女王は大いに息をついた。
「助かった・・・・」
 姿勢を戻した光の女王は大きく深呼吸するが、
(うっ・・・・)
 そのたびに緩んだコルセットからこぼれる豊満な胸が揺れ動くので、闇の王は
そっと視線をそらした。
「ドレスを着るのに必要だからと身につけたが、やはり普段着慣れないものを着る
べきではないな。まさか、コルセットがこんなに苦しいとは」
 それはコルセットのほどよい閉め方を知らない女王が、コルセットとはとにかく
締め付けるものとどこからか得た知識を元に、侍女にありったけの力を込めさせて
紐を締めたからである。あいにくと女王に仕える侍女達も女王が普段鎧やコルセッ
トを必要としない簡素なドレスを身につけているせいで、きちんとしたドレスの着
こなし方に乏しい者ばかりであった。
 おかげで呼吸をままならず、普段の鍛錬から培った忍耐で今の今まで締め付けか
ら耐えていたのである。
「息苦しさのあまりもう少しで自らドレスを引き裂くところだった。礼を言うぞ。
闇の王」
「それはよかった」
 闇の王は心の底からそう思った。
 下手すればすべての女性に冷めるような惨状なんか見たくもないし、ドレスを引
き裂いたのは闇の王と誤解でもされたらたまらない。
 誤解されやすいが、闇であることと悪であることは別なのだ。
 悪に染まりきらないことこそ闇の者として至高と闇の王は思っていた。
  そんな闇の王の気持ちなど露も知らず、今までの無理な締め付けからの反動か、
光の女王はやれやれと表情も雰囲気も何もかもを緩めた。
「やっぱり無理はだめね」
 勇ましさはなりを潜め、女性らしい言葉が唇からこぼれる。
「相手を威圧してもダメだけど、なめられてもいけないから光の名にふさわしい
荘厳華麗な女王の出で立ちでって、皆にアドバイスされたけど、結局はぼろが出る」
 その言葉に闇の王は耳を傾ける。
「あなたもそう言われたのか」
「ということは、あなたも似たようなことを言われたのね。どちらが上か下なんて、
遙か昔みたい。エンペラーがいてくれて本当にうれしいわ」
「そのエンペラーは次代の灰色の魂を求めている。だからこそ、この場に私達がい
るわけだが」
「聞いた当初は驚いたけどね。私は光の女王よ。覚悟はあるわ」
 それを聞いた闇の王は、ほぅと感心すれど、闇の者らしい意地の悪さが頭をもた
げてきた。
「覚悟はあると言うが、あなたは無類の男嫌いとか」
 そう言った途端、光の女王がうっと声を詰まらせるのを見て、意地の悪さが止ま
らなくなる。
「光の女王が数多くの言い寄る男達を切り伏せてきたというのは、我々の間でも
有名な話だ」
「まぁ・・・ね・・・。でもあいつらは地位や私と関わることで得られる物が目的
だもの。そんな連中、相手にしてられないわ」
「あなたは光の者らしく潔癖だな」
 闇の王なら適当に楽しんであしらうところだが、それも光の女王らしいと好意的
に受け止めた。
「では、私は嫌われたな」
 なぜかそんな言葉が出た。
「え?なぜ?」
 きょとんとする光の女王に、逆に闇の王も面食らう。
「いや、さっき失礼なことを言ったからな」
「あ~~、そういえばここに来てから何かべらべらしゃべってたわね」
「・・・・・聞いてなかったのか?」
「あの時は、息苦しさが限界寸前でそっちのことに気を取られてから覚えてないわ」
 そうなのである。
 闇の王が東屋に来たとき光の女王はあまりの苦しさに、「コルセット、きっつぅ」
とか「服装ミスったわ~~。いっそ鎧にしとけばよかった~~」とかそんなことば
かり考えていたため、闇の王の話はろくに聞いていなかったのである。
「そうか・・・・助かった」
 闇の王はまたしてもそうこぼした。
「なにか重要な事だったかしら?」
「全然。忘れてくれ」
 ここに来て闇の王もなんだか気が抜けた。
 いつも勇ましい姿ばかり目にしていたからそれが素なのだと思っていたが、素の
女王は思ったよりそそっかしく、雰囲気が柔らかだ。
 これなら夫婦となっても案外楽しめそうだと、王は今回の顔合わせの結果に満足
した。


「そろそろ戻るか。あなたもいつまでもその格好は苦しいだろう」
「コルセットは緩んだから息苦しくは無いけど、そうね。いつもの格好がいいわ」
 どうせ結婚することは決まっているのだし、してしまえば嫌でも毎日顔を合わせ
ることになるだろう。話ならその時たっぷりできるし、光の女王はいまは早く着慣
れた服に着替えたかった。
「でも、戻るにはまたこれを着ないとね」
「すまない、紐は引きちぎった」
 素直に謝る闇の王に光の女王はカラカラと笑う。
「いいのよ。私も結べないし。とりあえずチャックは上げてくれる?そうすれば
後は自分でなんとかするから」
 と言って、光の女王は自らの背を闇の王にさらけ出した。
 闇の王は乞われるままにチャックを上げようとしたが、目の前の背中を見て、先
ほどとは違う感情に襲われた
(綺麗だな)
 戦いに身に置いているからか背中にもうっすらと傷跡が見える。しかし、痛まし
さはみじんも感じない。それは彼女の勲章であり気高さだ。同じく剣を振るう者と
して、好ましいものにしか見えない。
 さらに、チャックを上げやすいようにと女王は後頭部の髪を上にあげていたため
うなじが丸見えだ。
 そのなまめかしさに思わず吸い付きたくなる。
(何を考えて言えるんだ、俺は)
 今はまだその時では無いと、闇の王は理性を奮い立たせ、無の境地でチャックを
上げようとする。
 しかし、肩甲骨の辺りでそれ以上チャックが上がらなくなる。
「むっ・・・・なぜだ」
 力を入れて引き上げようとするが、何かにつっかえるように上がらない。
 そのうちまたしても光の女王が小さな悲鳴を上げはじめた。
「まっ、待って・・・苦しい・・・・」
「どうした?」
 何事かと不用意に背中の向こう側を上からのぞき込んだ闇の王が目にしたのは、
 コルセットから完全に外れ、布の中に収まりきらず、大きく息をすれば布をはじ
け飛ばさん限りにミチミチムチムチと圧迫された女王の豊満な胸であった。
 その瞬間、闇の王の理性は爆発四散し、欲情が彼を襲ったのである。






「今頃どうしとるかのう、二人は」
 その頃エンペラーは、自室でお見合い中の二人の王の様子を気にかけてそわそわ
としてた。
 この話を持ちかけたとき、光の女王は固まっていたし、闇の王は感心薄気だった。
 普段はそう仲良くない二人であるし、いまだに消えぬ光と闇の確執のこともある。
 だが、世界のためにも上手くいってもらわなければならない。
「心配だのう」
 そこへ、こっそり様子を見に行かせた部下が返ってきた。
「おお、よくぞ戻った。どうであった、二人の様子は?」
 心配と期待を胸に報告を求めるエンペラーに部下は淡々と告げた。
「ご安心ください。お二人は上手くいっております」
「おお。そうか、そうか。それはよかった」
「その証拠に二人でよろしくやっておりますので」
「速攻!?」


 その後、二人の王はわざとらしいすました表情ながらも互いに手をつないで戻り、
世界の平穏は今後も続きそうなことを暗示したのであった。
PR

コメント

カレンダー

05 2025/06 07
S M T W T F S
1 2 3 5 6 7
8 9 10 11 12 13
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30

リンク

ブログ内検索