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幻想庭園

いろいろ書き散らしてます。 なお、掲載している内容につきましては、原作者様その他関係者様には一切関係ありません

黄金の指輪(19)

 手に入れたと思った。しかし、望みは天へ消えた。


聖闘士星矢 アスガルド編 黒ヒルダ


 十数年前に書きました、ジークフリートを主人公として、「アスガルド編」に独自ねつ造設定を加えて書いた作品です。
 なので「黄金魂」編の設定は入ってません。
 たぶん、初めて書いた長編となります。
 せっかくのなのでUP。




























「バカな    
 ヒルダは呆然と海闘士を道ずれに天高く登るジークフリートを見つめていた。
 
 ありえない。
 
 ジークフリートが負けるなんて。
 
 ありえない。
 
 ありえない。
 
 あってはならない。

「去ってしまう・・・・」

 行ってしまう。

 あのときのように。

 また離ればなれになってしまう。

「おのれ・・・」
 ヒルダ、いやニーベルンゲンは聖闘士達に槍を向ける。
「お前達のせいで。お前達が来たせいで」
 どうして誰もかも私からジークフリートを奪うのか!
「死ね   !!」
 ニーベルンゲンは槍先から光線を出して攻撃する。しかしペガサスの聖闘士は攻撃を
受けながらもオーディン像へ近づく。
「くっ!」

     お前の負けよ)

「ッ、誰だ!?」
 女の声が聞こえた。
 しかし、ここには聖闘士達しかおらず、アテナはそこで寒さに耐え、声も出せずに
たたずんでいる。

(大人しく、冥府に去るがいい・・・)

  この声。
 聞いたことがある。
 遙か昔。
  ジークフリートのそばではいつもこの声がした。
「き、貴様、ブリュンヒルト!!」
 バカな、
 あの女は遙か昔に死んだはず・・・。
「ま。まさか・・・」
 ニーベルンゲンは、うちにあるヒルダを見る。
 双眸から涙を流し、こちらを見つめているヒルダ。
 その後ろに、ニーベルンゲンは確かに見た。
 忘れるはずもない、あの姿。
 憎んで、憎んで、妬み続けてきた女。
 
     なんということだ・・・。

 傍にいたというのか。
 姿形を変えてまで・・・。

「オーディーン」
 ハット、ニーベルンゲンは現実に戻る。ヒルダに気を取られている間に、ペガサスの
聖闘士が、先程よりもオーディン像に近づいている。
「あれは、させるか!」
 バルムングの剣が出現したら、殺されてしまう。
 そしたらもう逢えなくなる。
 そんなの嫌だ!!
 槍を投げつける。槍はペガサスの聖闘士の身体に刺さるが、それでもヤツは止まらない。
「はぁ!」
 リングから直接攻撃する。
 しかし    
「ああ・・・」
 オーディンサファイアがオーディン像に捧げられた。
 大地が揺れ、オーディンローブが出現する。そしてローブにはバルムングの剣が。
「ああ、いや、やめて・・・」
 ヒルダが死ぬと脅すが、オーディンに勇気づけられたペガサスの聖闘士の動きはとまらない。
「うわぁぁぁぁぁ」
 消える。消えていく。私の力が。私自身が。

(ジークフリート          !!)


 叫んだ。咽を振り絞って叫んだ。


 声なき声は虚空にも響かなかった。




「我らの神オーディンよ・・・・」
 ヒルダの祈りが捧げられる。
 気高く、温かで、どこか悲しげな小宇宙がアスガルドを包み、氷の崩壊を止めていく。
 ジークフリートの望みは果たされた。
 ヒルダが戻り、明日からまたいつもの日常が始まる。
 もう、そこに彼はいないけれど、人々は関係なく明日への道を歩む。
 それこそが彼の望み。
 英雄と貴ばれることを喜ばない、勇者の    
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