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幻想庭園

いろいろ書き散らしてます。 なお、掲載している内容につきましては、原作者様その他関係者様には一切関係ありません

小ネタ集 その4

百日の薔薇 小ネタ集その4

11.敬称を付けろ!
12.敬称を考えよう
13.報酬はカ・ラ・ダで♪


 昔に書いたのが出てきたので、せっかくなのでアップしました。
 中身は自己満足の代物です。






11.敬称を付けろ!


クラウス「タキ~。はよ~」
クラウス「なぁ、タキ。これなんだけどよ~」
クラウス「タキ~。」


ハゼベ「クラウス~。貴様ぁ!!!ちゃんと「様」をつけんかぁぁぁl!!!!」
 ハゼベの絶叫に、クラウスははぁっ?と言う顔をする。
クラウス「何だよ。おっさん、急に」
ハセベ「急にではないわ。今までお前がこの国の言葉をしゃべれないからと、我慢し
   てきたが、もうゆるさん!ちゃんとタキ様のことを『タキ様』と呼べ!!」
 ビシィッ指さされたクラウスだが、うるせぇなと耳穴をほじくった態度をとる。
クラウス「いいじゃねか。タキも許してるんだし、今更じゃねぇか。だいたい俺たち
    もともと級友だぞ。最初から主従関係じゃねぇんだ」
ハセベ「だが、今は主従!騎士が主を敬称で呼ばんなぞ、他の者に示しが付かん!
   お前はタキ様の評判を落としたいのか!、」
 そこまで言われ、さすがのクラウスもちっと舌打ちをする。
クラウス「分かったよ。『様』つければいんだろ『様』を」
ハセベ「何だ、貴様そのなげやりな態度は!!」
クラウス「そうカッカすんなよ。ちゃんと呼ぶつってんだろ。だいたい今まで
   『タキ』って呼び捨ててきたのに、急に様付けしたら・・・恥ずかしいじゃ
   ねえか!!」
アズサ「大尉が、はずかしんですか!?」
 いままで、傍にいたのに無視されていたアズサが、ここに来て始めて突っ込みを
入れた。
クラウス「というわけで、ハセベ。完全なる様呼びまでにはもう少し時間をもらうぞ」
ハセベ「・・・・やむえんな。わかった」
 ちゃんと呼ぶんだぞと、ハセベに念を押されクラウスの様呼びまでの葛藤期間が
始まった。


クラウス「タキさ・・・・・砂糖が欲しいんだけど」
タキ「・・・・どうしたのだ、クラウス?」
 呼ぶたびに挙動不審になるクラウスに、タキは大丈夫か?と言う顔をするのだった。


12. 敬称を考えよう


 ハセベに言われ、タキを様付け呼びするべくアプローチを繰り返すクラウスだった
が、そもそも自身が旧貴族の家出身で周囲から様付け呼ばわりされることが多く、
社交界にそれほど出なかったため、自身の家より高い立場や地位にいる言えとの
付き合いは少ない。
 また、母親の影響から、いつも砕けた態度をとっていたことから、いざとなると
なかなか口に出来ないのであった。
クラウス「くそ、けっこうむずいな」
 言われて三日目。いままで、ちゃんと言えたことは一度もない。幸いなことに、
努力していることは認めているのかハセベからの小言はなかった。
 だが、呼ぶたびに、頭にさのつくちがうことを言ってしまうので、すでにタキは
不審の目で自分を見ている。
 様付け呼びするめに主従の絆が消えそうである。
クラウス「どうするか・・・」
 ベットの上で寝転がりながら、対応策を考える。
 そもそもタキと言おうとすると、いままでのクセでそこで止まり、意図的に様付け
使用として恥ずかしさや照れがこみ上げ、変なことを言ってしまうのだ。
クラウス「そうか」
 クラウスは、あることに気づき勢いよく上半身を起こす。
クラウス「そうだよ・・・そういうことなんだよ」
 そうと決まればと、クラウスはベットから飛び降りると勢いよく部屋を飛び出し、
本館の中にある図書室へと向かったのであった。


 戦争中出なかったら、今日もいい日になりそうだと思えるような晴れ渡るさわやかな翌朝。
 朝食をとっていたタキの元へクラウスが駆け込んできた。
クラウス「タキ~。聞いてくれ~」
ハセベ「クラウス、貴様・・・!」
タキ「よい。おはようクラウス。すまないが、今日は朝から用件が詰まっていてな。
   先に・・・」
クラウス「とうとう見つけたんだよ。俺がタキのこと様付けで呼べる敬称を」
タキ「様付け?」
 何のことだ?と思ったが、タキはすぐにハセベにちらりと目をやる。
 ハセベは、内心ギクリとしたが、これもタキ様の御ためでございますと平伏する。
 視線を戻し、タキはクラウスにどういうことだ?と聞く。
クラウス「タキ、俺はお前の騎士だが、もともと学友だからな。すんなりとお前を
    様付けで呼べねぇ。だから、俺なりに様付けで呼べる敬称を探した」
ハセベ「ふむぅ。それでもよかろう。それでなんとお前は呼ぶつもりなんだ」
クラウス「タキ、俺は今から、お前のことを『薔薇のように気高くて、世界一美しく、
     エロカワイイ俺のタキ様』て呼ぶことにするぜ」
 いい呼び名だろ!とドヤ顔で言うクラウス。
 次の瞬間、タキの手から橋がするりと滑り落ち、床にからーんと乾いた音を立てた
のであった。


 その日の朝の謁見会議で領主より、「騎士は、主を呼ぶとき敬称を付けないで良く、
誰もそれに異を唱えてはならない」という謎の命令が下ったという。



13.報酬はカ・ラ・ダで♪



クラウス「ただいま~」
タキ「クラウス!三日間も一体どこへ行っていたのだ!!」
 ある日、突然「ちょっと行ってくる」と言って出て行ったきり、なんの連絡も
よこさなかったクラウスを、タキは怒りと驚きと心配が混ざり合った声で出迎えた。
タキ「ああ、こんなに憔悴しきって、目に隈が。一体なにをしておったのだ!」
クラウス「たいしたことねぇよ。それよりこれ」
 と言って、クラウスは分厚いA4サイズの封筒をタキに渡す。
 開けてみろと言われ、封を開けたタキは、中に入っていた書類に目を通し、驚いた。
タキ「これは・・・!い、一体どうやって手に入れたのだ!?」
 書類は軍部と政治部との関連を示す極秘資料だった。おそらく、手に入れられるの
は、この国の中枢に関わり、かつ表にも裏にもアクセスできるごく少数の人間だけだ
クラウス「カツラギからもらった。報酬だとよ」
タキ「・・・・・・カツラギ卿から?」
クラウス「裏からあいつからカラダ貸してくれって連絡が来てさ、これもらうことを
    条件にしてやってきた」
タキ「・・・・・・え?」
クラウス「あいつすげえわ。三日三晩ぶっ通しで、やりやがってさぁ。おかけで、
     腰はだるいわ。眠いわ」
 中年なのに、タフだよな~と謳っているクラウスは、疲労の余り自分の言動の危うさに
少しも気づかなかった。
 己の背後でタキが刀を抜いていたことも。



 この三日間、クラウスの身に何があったのかというと。

 内務省副大臣室に通されたクラウスは、カツラギから渡された書類を見て驚いた。
クラウス「なんだよこれ。間違いだらけじゃねぇか。おまけになんだ、この文法。
     皇国語があんまり出来ねぇ俺でも、おかしいことくらいわかるぞ」
カツラギ「分かるのかね。なら、それで十分だ」
 渡されたのは、外務省から内務省へ回ってきた書類である。
 諸外国からの外交書類は、外務省が訳して内務省に回すことになっているのである
が、その訳文がおかしな事になっていたのだ。
クラウス「これで、外務省の役人やってんのかよ。語学スキルが低すぎだろ」
カツラギ「はは、耳が痛いな」
 つまり、カツラギからの依頼は、これを訳すのを手伝えと言うことである。
 内務省内に人がいないわけではないのだが、今回回ってきた文章が大量にあり、
決裁に間に合いそうにないので、クラウスに取引を持ちかけたのだった。
 クラウスは、皇国語はあまり出来ないが、母国語のニュアンスを伝えることは出来る
ので、呼ばれたのである。
カツラギ「期限は三日後だ。完了した時点で、報酬は渡そう」
クラウス「・・・・これだけの仕事してやんだ。中身はカスじゃねぇだろうな」
カツラギ「安心したまえ。私は、そこまでケチではない」
 というわけで、クラウスは、配置された内務省役人と共に三日三晩ほど徹夜で仕事を
成し遂げたのだった。



クラウス「というわけなんだよ。三日三晩座りっぱなしでさ。トイレもろくに行けなかっ
    たし。飯も食ったかどうか記憶がねぇし。ほんとに大変だったんだよ」
タキ「そうだったのか」
クラウス「だからさ、タキが考えてるようなこと何にもないから。あんなおっさん、
    興味ないから。刀納めてくんない?」
 何があったのか話している間、クラウスは真剣白羽取り状態であった。


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