聖闘士星矢エピソードG オケアノス 独白
オケアノス→テテュス
十数年前に書いたものがでてきたので、せっかくなのでアップしました。
『あたしをお嫁さんにして』
顔を合わせる度に、そう口にする少女がいた。
そのたびに、私ははぐらかすか、無視するか。ときには、はっきり拒絶する言葉を
口にした。
少女は一瞬目尻を下げ、しゅん・・・とした顔になるが、次の瞬間にはもう復活して
いる。
それを我らは何度も繰り返した。
繰り返し、繰り返し・・・・・・少しずつ変化した。
言葉は言霊。
言い続ければ力を持ち、未来を束縛する。
そうなったら逃げられない。
今日も少女が隣に立つ。
だが、もう少女ではない。幼さはとれ、女性となった。
今、彼女は一生に一度しか来ない日に着るこの世で最も美しい衣装を身に纏い、
姉たちの手により美しくなるよう化粧を施され、この場で一番美しい女神となっている。
彼女が言った。
「あたしをお嫁さんにしてくれる?」
「ああ・・・」
もう、拒絶の言葉は出てこない。
今日、彼女は私の妻となった。
366日耐久お題 039 許婚
※ 許婚 = いいなずけ