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幻想庭園

いろいろ書き散らしてます。 なお、掲載している内容につきましては、原作者様その他関係者様には一切関係ありません

黒い主人とぐうたらメイド  フラン○フルト企業博覧会

戦うセバスチャン  セバスチャン×デーデマン デーデマン女体化 

セバスチャンが主人で、デーデマンがメイドのパロ。

十数年前に書いたものがでてきたので、せっかくなのでアップしました。










 いま、フラン○フルトでは、国内の企業による博覧会が開催されている。
 各ブースでは、企業が自社自慢の製品と新製品が紹介展示されており、新たなビジネスの
開拓とPRをかねて盛大に行われている。
 勿論、ブースに一角にはセバスチャンの会社も出展しており、さすがは企業力と知名度が
高いだけあって、連日人に溢れていた。
 セバスチャン自身も幾度も足を運び、傍らにはデーデマンの姿もあった。


「つーかーれーたぁー」
 デーデマンはぐったりとベンチにもたれ掛かった。
 連日、主人のお供をしていたのだ。
 しかし、自分はなにをするわけではない。ただついて回るだけだ。
 各ブースでは、様々企業によるイベントが行われていたし、広場では、外食産業や
食品会社が屋台を出しており、おいしそうなにおいを垂れ流している。
 こういう場所こそデーデマンは行きたかったのだが、セバスチャンは行く気無し。
 まさか主人をほっぽいて行くわけにも行かず(第一離してくれない)、デーデマンは
つらい時間を過ごしていた。
 デーデマンが疲れのため息を吐いていると、先程まで来場していたとある企業の重役と
話していたセバスチャンがいつの間にか側に来ていて、帰るぞと一言言うとさっさと
出口の方に歩いていった。
 ちょっとは気遣ってよ!と思うが、これが私の主人なんだと思い直しその後を追いかけた。


 車窓から名残惜しげに会場を見るデーデマンに、セバスチャンは命令した。
「デーデマン。今日は俺の部屋に来い」
 いつも自分だけが命じられること。
 普段なら受け入れるのだが、今日は虫の居所が悪いのでデーデマンは拒否する。
「疲れているから嫌です」
 つんとして、絶対にセバスチャンの顔を見ないようにさらに車窓の外を見る。
「ほぅ」
 セバスチャンは、デーデマンの肩を掴むとぐいっと引っ張りこちらに顔を向けさせ、
顎を掴む。
「主人の命令に逆らうのか?」
 セバスチャンの美顔を度アップで見せつけられ、デーデマンの顔はトマトのように赤くなる。
「おとなしく言うことを聞いておけ。明日いいところに連れてってやる」
「えっ?」
 本当?と目を向けるデーデマンにセバスチャンはにっと微笑む。
「俺がお前に嘘をついたことがあるか?」
 いっぱい吐かれているのだが、こう言うときセバスチャンは嘘をつかない。
「わかったな」
「・・・・・はい」
 車は一路、屋敷への道を走っていった。


 ◇  ◇  ◇


 ふかふかした布団に抱かれて、微睡むような眠りについていたデーデマンは、激しく
ゆさぶれられて飛び起きた。
「なっ、なに?」
「やっと起きたか」
 ベット際には主人の姿が。しかし、いつものきりっとしたスーツ姿ではなく、やたら美形な
顔はおいといて、そのほか一般市民と変わらないセーターにストレートパンツという格好をしていた。
「行くぞ、仕度しろ」
「いい行くってどこへ?」
「博覧会へだ」
 デーデマンは耳を疑う。
 博覧会って仕事・・・・にしては格好がラフすぎる。
「今日は一般客としてだ」
 それって・・・。
「行かないのか?」
「行く、行きます」
 デーデマンはわたわたと転がり落ちるようにベットから降りた。


「もうブースはさんざん見たしな。声を掛けれらても面倒だ。広場に行くぞ」
 広場には、前述の通り様々な屋台が出ており、ストリートパフォーマンスも行われていた。
 移動遊園地も来ており、各アトラクションの前には長い列が出来ていた。
「人、多いですねぇ」
「休日だからな。はぐれるなよ」
 そういって手をしっかり握ってくれるセバスチャンに、デーデマンは嬉しく思った。
「ねぇ、旦那」
「セバスチャンだ」
 セバスチャンは、普段通りの呼び方をするデーデマンの口を遮る。
「今日はセバスチャンと呼べ」
「は・・・はいっ、セバスチャン」
 こう呼ぶと恋人同士のようだと、デーデマンはますます嬉しくなる。
「えへへっ」
 ぎゅっとセバスチャンの腕にからみつく。
「重いぞ」
 でも、その声は怒ってはいない。寄せる視線は愛しさを含んでいる。
「なにか乗るか?」
「えっーと、じゃあねぇ・・・」
 楽しい時間がスタートした。


 それから二人は、様々なアトラクションに乗り、パフォーマンスを見て、デーデマンは
セバスチャンにもうよせと言われるくらい色々な物を食べた。
 途中、夢中になるあまり二人ははぐれてしまった。
 デーデマンは、博覧会に来ていたガラの悪い男二人組に声を掛けられたが、すぐに
見つけ出したセバスチャンに睨まれて、二人組はすぐさま退散した。
 ここには、博覧会オリジナル商品も売っており、屋敷のみんなにおみやげ物を選ぶなど
していたら、あっという間に夜になった。
「暗くなっちゃいましたね」
「そうだな、このあと花火があるが、帰るか?」
「見ます。ぜぇーったい見ます!」
 夜八時頃、空に大輪の花が咲いた。
 赤、青、黄、緑など様々な色が絡み合い、形もそれぞれ違う花火が次々と夜空に
咲いて、散っていく。
「きれい」
 うっとりと見ほれていると、
「デーデマン」
 呼ばれて気づくと頭上高くあったセバスチャンの顔が、すぐ側まで来ていた。
 デーデマンはその意味していることをすぐに読み取り、さっと頬を染めた。

 夜空に散りゆく火と光の花を背景に、二人はそっと口づけた。


 花火の終わりは、今日の日の終わりを告げた。
 二人は並んで会場を後にする。
 明日から始まるのは、いつもと変わらない日常。
(今日のことは決して忘れない)
 デーデマンはそう深く胸に刻みつけた。


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