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幻想庭園

いろいろ書き散らしてます。 なお、掲載している内容につきましては、原作者様その他関係者様には一切関係ありません

母の愛 子の迷惑

戦う!セバスチャン  
セバスチャン×デーデマン デーデマン女体化 
十数年前に書いたものがでてきたので、せっかくなのでアップしました。
作品の初期の頃の設定を使っているので、今と設定が違うことをご了承ください。













「変化がない」とデーデマン家に変化を求めたデーデマン父の策力により、デーデマン家
大仮装大会が行われたのは、つい先日のこと。
 全ての服が燃やされたので、新調されるまで、デーデマン父が見繕った服を着ていた
のだが・・・・。


「へっっ、くしょ!」
 吹き飛ばされた唾が書類の上に散らばる。
「旦那様。くしゃみをするときは、手で口を覆ってください」
 唾が飛んでくるんですよと言いながら、セバスチャンはティッシュの箱をデーデマンに
差し出す。
「ありが・・・くっしゅ!」
 口を開こうものなら、出るのは言葉の途中までとくしゃみのみ。
 こうなったのも、今デーデマンが着ている服のせいだ。
 父の見立てで原始人の服を着せられた彼は、素肌の上に布一枚しか身につけていない。
 そして今は春とはいえ、まだまだ肌寒い日が続いている。
 そのため、寒さでくしゃみが止まらないのだ。
 早急に現代の服装に戻らなければ、風邪をひくのは時間の問題だろう。
「ほら、これを着て」
 セバスチャンは、自分の上着を脱ぎ、デーデマンの肩にかける。
 デーデマンは嬉しそうに笑った。
 暖かくなったのと、セバスチャンの着ていた服を身につけられて嬉しかったのだ。

 それでもまだくしゃみは出てしまう。
 そんなデーデマンの様子を見て、セバスチャンは思わずため息が出る。
(まいったな)
 すでに、早急に服を持ってくるよう仕立屋に注文を出したのだが、納めるまでに
1~2週間はかかると言われ、3日で納めろと脅しをかけたのだが、デーデマンの服は
特注品のためどうがんばっても最低一週間はかかると言われてしまったのでは仕方がない。
 職人も本物で、半端なものは出せないという信念の持ち主なので、これ以上は無理を
言えなかった。
(あのくそヘンタイオヤジが!)
 代金は全て向こう持ちとなっているため、これを期におもいっきり高級品をせびろうと
頭の中で計算していく。
 しかし、今問題なのそのことではない。
 デーデマンの服をどうするか・・・・。
 他の者達の服も全て燃やされてしまっている。
 第一、今のデーデマンの体型では、他の者の服は着られない。
 ユーゼフに頼めば出してくれるだろうが、代わりに何を要求されるかわかったものではない。
 一般人が着る安物ならすぐに手にはいるが、それを着せるのはどうしてもいやだった。
 セバスチャンなりの美学である。
 どうしたものかと思案していると、バァンとドアが開き、

「ハァ    イ!セバスチャン!!いつ見てもいい男ねぇ~!」

 いつもセクシー、ハイテンションのデーデマン母が入ってきた。
 旅行から帰宅したようだ。
 今回はどこだったか・・・・・・どうでもよかった。
「お母さん、なんなのよヘックシッ」
「あら、なにあんたそのカッコ。そういえば今日はみんな仮装してるわよね。
でも似合ってるわよ~。あんたもまぁあつらえたように・・・」
「そんなのうれしくなクシュッ!」
「なによカゼ~?そんなカッコしてるから・・・」
「大きなおせクション!」
 ひときわ大きなくしゃみをしたあと、セバスチャンが差し出した箱から、ティッシュを
つかみ取り、チーンと鼻をかむ。
 そろそろ本格的になってきたようだ。
「カゼひきそうなら服着なさいよ」
 デーデマン母が呆れた口調でもっともなことを言った。
「ぞれができないがら、がぜをひぎぞうなんらよ」
 とうとう鼻声になってしまった声で反論するデーデマン。
 何があったのよと聞くデーデマン母に、セバスチャンは嫌々ながら、ことの顛末を説明した。
「え~、そんなおもしろそうなことがあったの~!?」
 あたしも参加したかった~と残念がるデーデマン母に、殺意を抱いたのは二人のうちの
どっちだったか・・・。
「でもそういうことならねぇ・・・・・よし、あたしが一肌脱いであげようじゃないの!」
 はぁ    っ!?と首を傾げる二人にデーデマン母は、おみやげ袋をガサガサと探り、

「これを着なさい。あんたにぴったりよ」

 一m四方はあるかと思われるどでかい箱をデンッ!とデーデマンの目の前に置いた。
(いったいどこにはいってたんだろう?)
 疑問に思いつつも、デーデマンはリボンをほどき、ふたを開ける。

「・・・・・・・・・・あ?」


  ◇  ◇  ◇


 その日の夕食の時間。
 デーデマン家のダイニングルームでは久方ぶりに家族全員が食卓を囲む姿が見られた。
 いつもと変わらぬ当主一家の姿であった。
 デーデマンが、白いふりふりのレースで縁取られたアンティークのワンピースを着て、
頭に大きなリボンを付けていなければの話である。
「ど、どうしたの旦那様?」
「似合ってるわ~~」
「仮装大会の続きか?」
 ひそひそと噂する使用人達。
 それに比べセバスチャンは平然としている。
 彼にとっては、デーデマンがあのまま風邪をひいて、ただでさえ遅れ気味の仕事が
もっと遅れることの方が問題であった。
 それを防ぐためには、デーデマンが女装してようがなんだろうがどうでもよかった。
 ちなみに厭がるデーデマンに笑顔でごり押しして無理矢理着せたのはセバスチャンである。


 そして、このときから服が新調されるまでの間、デーデマンの笑顔が見られることはなかった。 


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