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幻想庭園

いろいろ書き散らしてます。 なお、掲載している内容につきましては、原作者様その他関係者様には一切関係ありません

意識返し

戦う!セバスチャン  
セバスチャン×デーデマン 幼少期の話。

ヘイヂが唯一の友達のデーデマンとそれがむかつくセバスチャンの話。

十数年前に書いたものがでてきたので、せっかくなのでアップしました。
作品の初期の頃の設定を使っているので、今と設定が違うことをご了承ください。









「今日ね、ヘイヂとね」
「ヘイヂがね・・・」
 口を開けばヘイヂ、ヘイヂ、ヘイヂ・・・。
 ムカッとした。
 だから、少し仕返ししてやった。


 その夜。
 その日の勤めを終えたセバスチャンが部屋へ帰ると、ドアの前でパジャマ姿の
デーデマンが待っていた。
「坊ちゃま、どうしました」
「セバスチャン・・・」
 なにやら怒っているらしく、むむむと額に皺を寄せ目をつり上げている。
「昼間ヘイヂを苛めただろう」
「ヘイヂ・・・・ああ、あの妙な生き物ですか」
「妙じゃな              い!!!!」
 大声で叫んだデーデマンにセバスチャンは目を見張る。
「ヘイヂは僕の友達なんだ。いくらセバスチャンでも苛めたら許さないから!!」
 頬を紅潮させ、額に青筋まで作って怒鳴るデーデマン。
 セバスチャンは、胃がムカむかっとして熱くなるのを感じた。
「あんなのを友達にしているなんて、デーデマン家の跡継ぎとあろうお方が・・・。
友達は選んだ方がいいですよ」
「うるさーい!!なんにも、なんにも知らないくせに」
 と、突然大きな目からぼたぼたと大きなしずくがあふれ出す。
 悔しそうに顔を歪ませるデーデマンに、さすがのセバスチャンもひるむ。
「ぼ、坊ちゃま」
「へ・・・ヘイヂくらいなんだ・・・・ぼっ、ぼくを『ぼく』としてみてくれるのは・・・」
 その言葉に、セバスチャンは失念していたことを思い出し恥じ入る。
 デーデマン家は数百年にわたってこの街を支配してきた名門。その跡継ぎたる
デーデマンに子供をだしに近づこうとする者は多い。子供も幼い頃はいざ知らず、
分別がつく年頃になると対応は代わり始める。


「すみません」


 セバスチャンはそっとデーデマンに近づき、床に膝をつくと左手を伸ばす。
 びくっとするデーデマンに一瞬手を止めるがすぐに動かし頭の横に添え、右手で
ポケットから白いハンカチを出すとそれで涙をぬぐってやる。
「俺が短慮でした。坊ちゃまにとってヘイヂは大事な友達だったんですね」
「ぞうだよ・・・・むにの・・・のしんゆうなんだ・・・」
 ひっくひっくとしゃくり上げながら告げるデーデマンの言葉がちくりと胸を刺す。
「もう(こちらからは)手出しは(今のところは)しませんから、泣きやんでください」
「・・・・・・ほんとう?」
「はい」
 とろけるような笑みを見せてやると、ようやくデーデマンは泣きやんだ。
「絶対だからね」
「はい」
 セバスチャンはハンカチをしまい立ち上がると、デーデマンを部屋まで送った。


 デーデマンがベットに入れ、布団を掛けてやる。
「ありがとうセバスチャン。おやすみ」
 寝る前の挨拶をして眠りの世界に入ろうとするデーデマンにセバスチャンは、
「坊ちゃま」
「うん?」
「もし、ヘイヂ以外に特別な人が欲しくなったら遠慮無く言ってください」
「えっ?」
「俺がなってあげますよ」
 言われた途端、デーデマンはポポポと頬を染める。
「では、おやすみなさいませ」
 ぱちんとベット脇にあるサイドテーブルに置かれたランプの火が消される。
 セバスチャンが去ってしばらくするも、デーデマンは寝付けそうになかった。



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