聖闘士星矢EPISODE・G オケアノス×テテュス
十数年前に書いたものがでてきたので、せっかくなのでアップしました。
創作を始めたばかりの頃で、つたないです。
イアペトスがアイオリアを自分達の世界に呼び出しに言ったあと 。
オケアノスはクレイオスに拾ってきた神剣を渡すと、自宮に下がった。と同時に
テテュスも滑るように入ってきた。なぜか楚真は身につけていない。
「も~、こんなにやられちゃって~」
テテュスはオケアノスの頬を両手で挟む。冷たさが、手のひらに突き刺さる。
「うう、つめたぁ~」
「テテュス、離せ」
すげなく手を振り払われ、テテュスはむっとする。
「なによ。治療しにやってきたのに」
「楚真が治してくれる」
「なに言ってんのさ。そんな状態の楚真なんか身につけてちゃ、治るどころか逆に
悪化するわよ」
オケアノスの楚真は、カミュの凍気を何度も受けたせいか、アイスノンのようになって
おりテテュスの言うことも一理あった。
自己治癒力を高めるとはいえ、楚真がそんな状態では、その効果はさほど期待できない
うえ、ますます躯が冷え切ってしまう可能性があった。
そうはさせないと、テテュスは楚真を脱がそうと手をかける。
氷のようになっている楚真が手に張り付いてくる。
「テテュス、よせ」
「いいから脱ぐの!」
しばしのもみ合いの末、根負けしたオケアノスはおとなしく楚真を脱いだ。楚真は
元の短剣の状態に戻り、カランと床に転がる。
「んじゃあ、こっちきて」
テテュスは、オケアノスの手を取ると、そのまま寝台へと誘導する。
「ここに寝て」
思わず躊躇したオケアノスを、いいから寝るのと寝台に押し倒すと、自分はその上に
馬乗りになる。
「・・・・・・・・・テテュス、これは治療なのだな?」
「そーだよ」
「なら、なぜ私の腹の上で馬乗りになる!」
「凍えた躯を温めるには人肌の温もりは一番いいって言うじゃない」
「なに!?」
ちょっと待てと押しとどめようとするオケアノスの上半身に身につけているものを
剥ぐと、テテュスは、己も身につけているものも脱ぎ、肌と肌をぴったりと合わせる。
そして、静かに小宇宙を燃やした。
「・・・・・・・・・!」
テテュスの小宇宙は、肌を通してオケアノスの全身に浸透する。
それと同時に躯のあちこちがじんじんと痛くなる。
凍気は内部まで到達していたのだろう。芯まで冷え切っていたらしい。
特に幾度も凍らされた両腕の痛みがひどい。
「両腕は重傷ねぇ」
テテュスはいったん肌を合わせるのをやめると、上半身を起き上げ、再び腹の上に
馬乗りになると、オケアノスの左腕を取った。そっと手のひらを己の頬に添え、
小宇宙を送る。
集中して小宇宙を送ってくれたためか、痛みはすぐに消え去った。冷たさが消え、
温かみが戻る。
もう片方の腕も同じようにし、再びオケアノスの胸に倒れ込む。
手と手を重ね、足をからめ、肌を合わせる。
「どう?だいぶぬくくなってきた?」
「ああ・・・・」
冷気は去り、今感じるのは熱。
思えばこうしっかり感じるのは久方ぶりだ。
かつて、幾度も躯を重ね、この熱におぼれた・・・・。
それが今再び 。
(!?)
その瞬間、オケアノスは自分の躯に走った違和感を感じた。
己の躯に走る熱。
それがある部分で昂ぶっている 。
「テテュス、もういい!」
オケアノスは寝台から飛び上がるように起きると、テテュスを躯から剥がす。
「えっ?ちょっと、オケアノス!?」
「もういい、充分だ」
せっかくいい気分に浸り、夢見心地でいたのにいきなり現実に引き戻され、
とまどうテテュスを尻目に、オケアノスは寝台から降りると楚真をまとった。
「鍵となるべき男を迎える準備をする」
そう言ってさっさと出て行ってしまった。
後に残されたテテュスは・・・・。
「なんなのよ・・・」
やっと二人の時間が取れたのに。
せっかくいい雰囲気になったのに。
チャンスだと思ったのに 。
「オケアノスのバカ !!」
怨念にも似た叫び声を上げたのだった。