聖闘士星矢EPISODE・G コイオス×ポイペ
十数年前に書いたものがでてきたので、せっかくなのでアップしました。
創作を始めたばかりの頃で、つたないです。
「君は美しい」
ポイペは、その人の口から一日一回は必ずその言葉を聞いた。
最初はさらりと流していた。
「コイオス、あまりそんなことを言わないでちょうだい」
コイオスからポイペは顔を背ける。
「そう思ったから言うのだよ」
「口に出さなくても・・・」
「私は、思ったことは口に出して言うタイプでね」
特に君のことはね、とコイオスはポイペに耳打ちする。
「もう」
ポイペはますますそっぽを向いてしまう。
だが、怒りではないだろう。
彼女の頬が朱に染まる。
それは、恥ずかしさかそれとも照れているからか・・・。
これだから堪らないとコイオスは思う。
クールという仮面を剥がし、素顔をさらけ出す。
本当は可愛い女なのだ。
このことは誰も知らない。
教える気もない。
彼女の本当の姿は自分だけが知っていればいいのだ。
「こういう顔もまたいい」
コイオスはポイペの顔を両手で挟む。
「実に魅惑的だ」
ポイペは静かにコイオスの手を払いのける。
「怒ってしまったか」
「まさか」
美しいと賞賛されるのが苦手なのは変わらない。
だが、不思議とコイオスの言葉だけは受け入れられる。
素直にとは行かないけれど・・・。
「もう、いくよ」
名残惜しげに、コイオスはポイペから離れる。
「ああ、言っておくが」
コイオスはドアの前で振り返った。
「私の君に対する言葉にウソはない。それに・・・」
その言葉は君だけにしか言わないのだよ
それだけ言うと、静かに去っていった。
ポイペの顔はトマトのように赤くなっていた。