聖闘士星矢EPISODE・G ヒュペリオン×ティア
数千年ぶりに再会した夜のこと。
十数年前に書いたものがでてきたので、せっかくなのでアップしました。
創作を始めたばかりの頃で、つたないです。
アイオリアへの歓迎を終え、ヒュペリオンが自宮へ戻ると、そこにはティアが待って
いた。
ティアは、ヒュペリオンの姿を見ると、すぐに駆け寄り抱きつく。
「おかえりなさい」
「ただいま」
こうしていつも出迎えるのだ。
そう、ずっと昔から 。
「アイオリアはおもしろい人間だ」
「えっ?」
「不思議だ。敵だというのに心が揺さぶられる」
こんな夫の表情をティアは初めて目にするような気がした。
元々、ヒュペリオンは兄弟の中でも人間に対する慈愛心が強かった。
(でも、ここまで惹かれるなんて)
「・・・・妬けますわ」
無意識に発した言葉にはっとする。
私としたことが人間ごときに嫉妬だなんて 。
「そういう意味ではないよ。ティアが一番だ」
ヒュペリオンの耳にしっかり入っていたようだ。
ティアは恥ずかしさで顔を赤くする。
そんな妻の仕草を見て、ヒュペリオンは可愛いとつい笑ってしまう。
共に育った女神達の中でもっとも特別な存在。
愛さずにはいられなかった。
「奴は必ず上ってくるだろう。王の時代が再びやってくる」
そして、その時こそ。
「ティア、ずっと一緒だ」
互いの愛を確かめたとき、そう誓った。
一度は離れてしまったけれど、
今、我らはここにいる。
今度こそは、ずっと共に。
「ヒュペリオン」
嬉しかった。
(でも)
ティアは、頭をヒュペリオンの胸にすり寄せる。
「でも、私は今貴方に傍にいて欲しいのです」
我らの勝利を信じている。
だが、ティアには今ヒュペリオンと共にいる時間の一分、一秒が惜しく感じられた。
現在(いま)がとても大切に思えた。
「あの者が現れるときまででいいのです」
滅多にない妻の我が儘。
「・・・わかった」
聞きいれぬと言うのはあまりに酷。
それに無理な願いではない。
「現れるときまでとは言わず、お前に傍にいよう」
「はい」
ティアは、心の底から嬉しそうに微笑んだ。