聖闘士星矢EPISODE・G クレイオス 独白
十数年前に書いたものがでてきたので、せっかくなのでアップしました。
創作を始めたばかりの頃で、つたないです。

胸口から吹き出すおびただしい量の血液。
蒼き血は集結し、刃となりて、剣となる。
「美しい剣だ」
初めて我が剣を目にした時のクロノスの言葉。
「だが、すさまじい」
王の手が胸の傷口に触れる。注がれる小宇宙が出血を止め、傷口を塞いでいく。
「なぜ、このような剣を? 一歩間違えばお前の命が危ないぞ」
王は怒っているようだった。
気にかけてくれている。
それだけで十分だ。
「心配は無用です。霊血の再生力と楚真の持つ治癒力を持ってすれば、傷などすぐにふさがる。あとはいかに一撃で決めるか。それだけが重要です」
「お前は本当に根っからの剣士だな」
呆れているようだった。
けど、それが事実。
自分には剣しかない。
自分は、オケアノスやヒュペリオンのように自然の力を操る能力もなければ、
イアペトスやコイオスのようにそれだけで役に立つ能力も持っていない。
自分が持つのはただ一つ。
血を吸い取り己の力に変えること。
血から相手の全てを奪い去り、その血を剣と化して我が武器とする。
血を奪うには身を斬らねばならない。
そのためにはどうしても相手を上回る剣技が必要なのだ。
我が力は剣がすべて。
蒼神剣は最終奥義。
今まで培ってきた剣技と鍛えてきた力の全てがこの剣に詰まっている。
この剣を出すには小宇宙を備えた大量の血が必要。
それを得るための最適な場所が、己の心臓部だったと言うことだ。
王が心配することなど何一つ無いのだ。
「ふさがったな」
王の手が離れる。傷は傷口があったなどとみじんも思わせないほどきれいにふさがっていた。
「この剣は最終手段とせよ。万が一お前に何かあれば困る」
「御意」
万が一などあり得ない。
そうなれば王を護れなくなる。
クロノスは剣と忠誠を捧げるのにふさわしい方。
この身を全てを剣と化してあなたを護ろう。
自分はそれしかできないのだから。