最後に二人でいられたのはいつだったか・・・。
別離の時から数千年。
君に再びまみえた。
腕の中に取り戻せた。
だから 。
「やめて、コイオス」
口づけ、そのまま愛の行為に及ぼうとするコイオスを、ポイペは止めた。
コイオスは、眉をひそめる。
「なぜだ?私は数千年待ったのだ。これ以上は 」
「あなたは怪我をしているわ」
その言葉に、コイオスは内心ぎょっとした。
今、自分の躯には傷一つ無いはずだ。
楚真と身のうちに流れる友の霊血が治してくれた。
だから、ポイペに判るはずがない。
「見くびらないで欲しいわね。私がいつからあなたと友にいたと思っているの」
遙か昔、神話の時代から「妻」として傍にいた。
「だから判るのよ。今のあなたは本調子じゃない」
私が目覚めるまでに何があったのか、私は知らない。
でも、判る。
この人は死にかけたのだ。
コイオスの身のうちにかすかに残っている、彼のものではない小宇宙はそれを告げている。
「今のあなたに必要なのは休養よ」
さあ、どいてちょうだいとポイペはコイオスをどかし、その腕の中から逃れようとする。
しかしコイオスは、さらに力を込めて、寝台に押しつけた。
「なにするのよ」
躯をねじり、何とか逃れようとするが、神とはいえど男と女。体格、力量の差でどうにも
動けない。
「私の躯は、私が一番よく知っている」
ポイペの耳元で囁いた。
「私に今一番必要なのは薬。それも《ポイペ》という名の 」
ポイペは頬が熱くなるのを感じた。
まったくこの人は・・・・。
「・・・・・・・・・しょうがない人」
互いの顔を近づける。
吐く息が絡み合う。
「薬が欲しいの?」
「ああ」
「ならあげるわ」
ポイペは、コイオスの唇に口づけた。