聖闘士星矢エピソードG
ティターン夫婦 ヒュペリオン×ティア
神話時代の話。
十数年前に書いたものがでてきたので、せっかくなのでアップしました。

一日の執務を終え、ヒュペリオンが自宮へ帰宅すると、何とも言えぬよい香りが漂っていた。
(甘い・・・・)
「お帰りなさい」
甘い香りに巻かれているといつの間にか妻のティアが出迎えに来ていた。
「ティア、この香りは・・・」
「ヘリオスが地上から持ち帰ってきた『イチゴ』という果物ですわ」
ティアとヒュペリオンの息子ヘリオスは、太陽であり四頭立ての馬車を操りいつも天上を
駆けている。
今日も、東の空を駆けていると、新しい島が出来ているのを見つけ降り立ったという。
其所に鈴生りになっていたのが、この苺であった。
ガイアが生み出したこの素晴らしきものに感動したヘリオスは、いくつか摘み取って天上に
持ち帰ってきたのであった。
「で、ヘリオスは?」
「地上より持ち帰りし苺を王に献上しに行かせました」
「一人でか?」
「いいえ、クレイオスと共に行かせましたわ」
ヘリオスはまだ幼く、一人で行かせることに不安を感じたティアは、誰か付き添わせて
行かせることにしたが、あいにく自分も宮の使用人達も手が離せない。困り果てていると
ちょうど下からクレイオスが上がってきたので、彼に付き添いを頼みヘリオスを行かせた
という。
「そうか、後で礼を述べねばな」
「ヘリオスが持ち帰った苺はたくさんありましたので、セレネに一部持って行かせました。
他の者達の所にもエオスに届けさせに行かせましたわ」
妻の完璧な対応の仕方にヒュペリオンは改めて感心する。
「まったく、君は素晴らしいよティア」
「お褒めにあずかり嬉しいですわ」
さあ、中に入りましょうとティアに促されて、ヒュペリオンは中に入る。
(甘い・・・・)
中は、先程より香りが濃くなったような気がした。
しかし深いではない。
それは、とても甘美で濃厚な 。
「ヒュペリオン、これが苺です」
我に返ると、ティアが器を持って傍に立っていた。器には、真っ赤に熟した小粒で先が
まるくとがった実が盛られていた。
そうかこれが苺というものか。
一つつまんで口に含む。
あの甘い香りと甘さと酸っぱさが口の中に拡がる。
「香りは甘いのに、味は少し酸っぱいな」
少し期待が外れたような感じがしたが、おいしかったので良しとした。
「ええ、本当ですね。香りはとても甘いのに・・・」
自分と同じような反応をした夫にたいして、くすくすと笑みがこぼれる。
「まったくだ。・・・・・ティア、君も甘いな」
えっと一瞬ぽかんとする妻の手から器を奪い取り側のテーブルの上に置くと、ティアの
躰を己の方に引き寄せる
「ヒュ、ヒュペリオン//」
「君からも甘い香りがする」
きっと香りが移ったんですよと口元をに笑みを浮かべ、夫の胸にしなだれかかる。
甘美と濃厚さが一層強くなった気がした。
「あれは、酸味があったが・・・」
そう言うとヒュペリオンは、ティアの顔を上げその赤い唇に深く口づけた。
「・・は・・・ぁ・・・」
「ティアはどこもかしこも甘いな」
うっとりとした表情のティアを近くの寝椅子に寝かせ、己の上半身をかぶせる・・・。
「ただいま !!」
元気で威勢のよい子供達の声に思わず両親は飛び起きる。
そして、残念と顔を見合わせお互いに笑い合った。
続きは今夜・・・・・と約束し、子供達を出迎えに行く。
甘い香りに包まれて、団らんのひとときが始まろうとしていた。