幻獣の國物語 香耶 統利
20年近く前に書いたものがでてきたので、せっかくなのでアップしました。
まだ、創作を始めたばかりの頃で、非常につたない作品です。
データを整理していて昔書いた作品のがなくなっていたりしたので、もっとちゃんと
整理しとかないとなと思うこの頃です。
ただの気まぐれだった。
それがどうしてこんなにむきになってしまうのか・・・。
スキ、キライ、スキ、キライ、スキ、キライ・・・。
そう言う度に花びらが一枚、一枚散っていく。
スキ・・・。
そこで、最後の一枚が散った。
また同じ。
何度やってもこの言葉で終わる。
この言葉を認めたくなくて、また一つ花を折り、もう一度繰り返す。
スキ、キライ、スキ、キライ、スキ、キライ・・・。
「なにをやっておるのだ?」
スキ・・・。
また、そこで全ての花びらが散る。
「ほぅ、花占いか・・・」
統利は、香耶が使っていた花を一つ折る。
「雛菊か。この花は恋を占うときに使うそうだな」
誰とのことを占っておったのだ?
そう聞かれることが怖かった。
言いたくなかった。
認めたくなかったから。
だが、統利は香耶が予想した言葉とは、まったく違うことを言った。
「どれ、我も一つ占ってみるか」
香耶の横に座り、花びらを一つ一つむしり取っていく。
「そうだな・・・「香耶は我のことが好きか」・・・」
スキ、キライ、スキ、キライ、スキ、キライ・・・。
花びらがどんどん無くなっていく。
スキ・・・。
そこで全てが無くなった。
「そうか、おぬしは我のことが好きだったのか」
にやにやと笑う統利にかぁっと赤くなって香耶は怒鳴り返した。
「統利なんか、大っ嫌いじゃ !!」
すくっと立ち上がり、すたすたと歩き出す。
統利は、その後ろをついて歩く。
「おぬしはどんなことを占ったのだ?」
「おぬしなんかには教えぬ」
そう言うしかなかった。
教えることは、己のプライドが許さない。
香耶が占ったのは、統利と同じこと。
そして花が告げた言葉も 。
「香耶(わらわ)は統利がスキ」