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幻想庭園

いろいろ書き散らしてます。 なお、掲載している内容につきましては、原作者様その他関係者様には一切関係ありません

カーテンの向こう側 裏側の話第四話(終)

最後に望むものは・・・。


*カーテンの向こう側のリンク視点の話です。
ブレスオブザワイルド リンク


 いつだったか、ゼルダ様に言われたことがある。

『お父上の跡目を継ぐべく騎士の道を選び、錬磨を続け、退魔の騎士に選ばれるほどの剣士に
成長した』

『それは、とても素晴らしい事だと思います』

 そうだろうか。

 今ほど、騎士であることを後悔したことはない。

 騎士となることを選んだのは、両親のことを笑いものにされたくなかったから。

 父は代々続く近衛の家系に生まれ、王に信頼されるほどの近衛騎士となりながら、ただの
村娘であった母と添い遂げるために、その地位を捨て、母は内心それを気にしていた。

 周りの大人達の中にはそれを揶揄するもの達が大勢いた。

 俺は両親を愛していた。父は俺の誇りだった。

 だから、騎士となった。

 身分違いで結ばれた両親の息子は、決して劣る人間ではないと周囲に知らしめたかった。

 その一心で決して驕らず、周囲の視線と声から耳を閉ざし、心を閉ざし、ひたすらに剣を振る
い続けた。

 その結果、騎士となった。退魔の剣に選ばれてしまった。

 勇者となっても俺は俺のままで、王の命令には逆らえなかった。

 いや、逆らわなかった。
 
 そんな考えすらなかった。従えと教えられてきたから。

 もし俺が騎士でなかったら・・・・、

 勇者となっても騎士でなかったのならあのとき・・・・、

 いや、すべては言い訳だ。

 自分の頭で考え、自分の心に従わなかった。

 それがすべてだ。

 あの日、俺は騎士でも、聖人でも、勇者でもなくなった。

 だから、厄災が復活したとき役に立てなかった。

 けっして、ゼルダ様が封印の力に目覚めなかったのが悪かったわけじゃない。

 現にほら、今目の前でゼルダ様が封印の力を使っているじゃないか。

 ゼルダ様の手に刻まれた聖なる印。

 掲げられた手から発せられる光。

(どうやら女神は、俺の願いを聞き届けてくれたみたいだな)

 知恵の泉で、祈りを捧げるゼルダ様の後ろで俺は見た。

 女神のしもべ、精霊ネルドラがこちらを見ていることを。

 俺はネルドラに言ってやった。

 女神ハイリアに伝えろ。
 ゼルダ様に封印の力を授けなければ、俺はハイラルのために剣を振るわない、。
 けれど、もし授けてくれるのなら、俺の命を捧げて戦う、と。

 女神は俺の願いを聞き入れ、俺は約束を守った。

 俺の命はまもなく尽きる。

 けど、後悔はない。

 最後のこの瞬間に、ゼルダ様の傍にいられたのだから。



 あとがき
 リンク視点の話は、これで終了です。
 いや、書くのしんどかった。もう一編書いて、この話は終わりたいと思います。
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